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カルチャー

ネット動画における時代の変遷

2000年からの日本動画コンテンツの変化と進化
17Z-1026 岡部 高英
一般的にネット動画とはサブカルチャーに含まれるものであり、様々な要因で成り立つ流行である。現ネット社会への影響は凄まじく、流れを掴むことができればポップカルチャーやサブカルチャーに関わらずカルチャーとして広告や新たな需要の創造により大きな利益も望むことができると考える。では、ネットの変遷にはどのような理屈があるのだろうか。
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【おもしろフラッシュ黄金時代】2000~2007

 傾向としては、1999年5月中に「ひろゆき」を名乗るネットユーザーの個人サイトとして開設された。
 初期の動画は基本的にFLASH形式のフォーマットで作られ、ゲーム要素やギミックを仕込んだものが見受けられた。
 そして当時パソコンというものを個人で持っている人間がオタクであるというイメージがつけられていたようにコアでマニアックな動画が多く動画そのものの総数がとても少ないように感じた。
 “2ちゃんねる”の影響を色濃く受けており、2ちゃんねる内で親しまれたAAキャラクター「ギコ」や「モナー」といったキャラクターを使ったものがかなり多く見受けられ、使用された音楽には多様性が見受けられたもののパロディ系統においては“ドラえもん”や“サザエさん”“マリオ”、素材としては“ゴルゴ13”“北斗の拳”“政治関連”の使用率が非常に高かった。ジャンルとしての偏りはコメディ方面が多く、次点でアクションと感動系という結果になった。
 一般的にフラッシュ黄金期と呼ばれる時代であり、前述したFlashを用いて作られた動画が多く個人で作られた動画そのものが少なかったため、所謂オタクたちがサイト内の身内ネタで盛り上がっていた時代。
 インターネット上の日本製の動画というだけで珍しく、ほぼ全ての動画が注目されていた。

【ニコニコ動画最盛期】2008~2016

 ニコニコ動画[※1]初期の傾向としては、MAD(もしくはMAD素材)と音楽がほぼ全てを締めておりMADに関係しない重要ニコニコ文化財タグの付いた動画内の更に初期のものの中では“ハイポーション作ってみた”(様々な栄養剤を鍋で煮込み、RPGゲームFINAL FANTASYに登場する回復アイテムハイポーションを作ろうという企画動画)以外は、音楽とMAD関係で2分科できるものとなった。
 しかしピックアップには入らなかったものの個人的に取り上げたい動画として、ゆっくり英雄伝説 空の軌跡FCをプレイしていってね!!! part1、ねこ鍋が挙げられる。ゆっくり英雄伝説は今なお続く“合成音声を使用したゲーム実況文化”の始祖であり、一つの大きいジャンルを生み出した動画である。
 また、ねこ鍋に関しては2007年に投稿された土鍋に猫が入っているホームビデオであり、ただ可愛いという一点でこの動画から社会現象レベルのブームを引き起こし、一般的に知られる単語として定着した。
 おもしろフラッシュとの相違点としては、モナーやギコといったオリジナルキャラクターがこの時点では定着していないことや、ネタ元として使用されている素材の幅に多様性がかなり高く一方で制作された動画ジャンルにおいてアクションやコント、空耳がなくなり狭く深くなったように感じられた。
 そしてYou Tubeだが前提として2010年以前の日本動画コンテンツの記録はほぼなく、ここ数年になってから細かいデータが分かるようになったため、2018年ほどまではトップトレンド以外は不明という結果になった。

※1 ニコニコ動画
ドワンゴが提供する日本最大の動画サービス
ニコニコ生放送やニコニコ静画など、ニコニ
コの名を冠し、動画共有サービスの枠を超え
た多くの派生サービスが展開されている。有
サイトという位置づけとなっている。

【You Tube最盛期】2016~

 動画コンテンツは爆発的に人口を増やしコミュニティを拡大。You TubeではFischer's、HikakinTVの2つのチャンネルから投稿された動画がリワードの8割を締め、2017年時から注目されはじめ今では爆発的人気を誇るVチューバーがニコニコ動画にて徐々に注目されるようになり、2019年ニコニコ動画ランキングの半数を占めるほどのブームを起こす。
 2020年現在では最低でもランキングの3割はVチューバーのクリップが入るほどにニコニコ動画に定着し、You Tubeでは収益化が可能になったYouTubeチャンネルのライブ配信に金銭の寄付を行うスーパーチャット、通称スパチャランキングにて世界中のYouTuberの中で上位8名が日本人。そのうち7名がVチューバーで、1位の桐生ココというVチューバーは累計金額8819万6685円という結果を叩き出した。YouTube Rewindは2020年の集計を中止したため情報は集められなかったが、殆どのマスがVチューバーに埋め尽くされたであろうことが予想される。
 また、2017年からのVRブームやインターネットコンテンツの定着により母数が増加した結果、これからの動画投稿サイトは個人の動画を見るものではなくインフルエンサーの確認をする掲示板という用途になるだろうと感じた。
増えすぎた母数と今まで見る物だった動画が参加するものへと変化した現在、多くの参加者兼視聴者の需要は過去の人気だった動画または、インフルエンサー候補たちに技術を指南する動画であると考える。

※2 You Tube
Google LLCが提供する世界最大の動画共有
サービス。

岡部 高英

好きな授業
私が好きな授業は、「表現応用B」です。
私の趣味であり生きがいは動画を作ることであり、表現応用Bはそのスキルを生かした上で新しい技術を身につけられる素晴らしい経験でした。

学部を振り返って
私は動画編集技術、もしくはそれに活かせるデザイン能力や画力、モデリング能力を伸ばしたいと考えデザイン学部を希望しましたが想定よりも動画に直結するような授業が少なかったように感じました。

学部で身につけた力
作品に使われている絵を引き立てるためのテクニック、またデザインを創造する上での基本的な地盤となる知識は得られたと感じます。