魅力という言葉を辞書で調べると「それに接する人の心・気持ちを強くとらえ、ついにとりこにさせるようなすばらしさ（のあるもの）」と記載されている。言葉として表現される「魅力」は非常に曖昧なものであり、一言で言い表すのは非常に困難である。しかし、雨上がりの虹や夜空に輝く満天の星を見れば誰しも美しさを感じるように、私たちは美しさや魅力がどういったものなのか無意識に知っている。
　魅力にアプローチする手段として、私は色に着目した。色は、それ自体に様々な魅力や効果がある。例として赤色をあげる。赤色を見ると、人は具体的なイメージとして「りんご」や「太陽」を、抽象的なイメージとして「情熱」や「興奮」を思い浮かべる。赤色には暖かさを感じさせたり、闘争心を掻き立てたりする心理的な効果もある。
　また、配色全体としての美しさを色彩調和と呼ぶ。良い配色を行うためには「調和」が重要になる。調和している配色は「統一」と「変化」に大別できる。統一のある配色は安心感や心地よさを、変化のある配色はインパクトやメリハリを与えることができる。

　多くのファンから支持されている、人気の女性アーティスト9名を調査した。調査した人物は、aiko、Billie Eilish、miwa、あいみょん、きゃりーぱみゅぱみゅ、安室奈美恵、宇多田ヒカル、西野カナ、椎名林檎だ。各アーティストのミュージックビデオを5本ずつ確認し、メイクとファッションに使われている色と、コーディネートについて調査を行なった。調べた項目は、髪・眉・チーク・リップ・アイシャドー・アイライン・マスカラ・ファッションだ。
　調査したアーティストは、4つのグループに分類した。グループは「個性的スイート」「活発ガーリー」「穏やかノスタルジー」「洗練スタイリッシュ」の4つだ。グループ分けを色の観点とコーディネートの観点から行うために、彩度の高さ・低さとコーディネートの個性・普遍性を指標とした。彩度とは鮮やかさの鈍さを示す要素で、彩度が最も高い色は「純色」と言う。
　「個性的スイート」にはきゃりーぱみゅぱみゅを分類した。特徴は、スイーツのように明るく澄んだ色合いと個性的で独特なファッションだ。「活発ガーリー」にはaiko、miwa、西野カナの3名を分類した。特徴は、少女のように明るいソフトトーンと、普遍的で可愛らしいファッションだ。「穏やかノスタルジー」にはあいみょんと宇多田ヒカルの2名を分類した。特徴は、哀愁を感じさせる灰色がかったトーンと、穏やかで落ち着いたファッションだ。「洗練スタイリッシュ」にはBillie Eilish、安室奈美恵、椎名林檎の3名を分類した。特徴は、純色に灰色を混ぜたおしゃれでスタイリッシュな鈍いトーンと、洗練されたファッションだ。

　色とファッションをコントロールすることで、特定の魅力が生まれるということが9名のアーティストを研究する中で見えてきた。今回は「魅力的な人物像」を画像で提案していく。画像は見やすいように、グループごとで作成した。分かりやすくするため、4つのグループは全て同じ構成で作った。
　画像の上側は、表現したいイメージをスタイル画とファションアイテムの写真を使って紹介する。スタイル画と写真の両方を用いることで、具体的なイメージが湧きやすいようになっている。画面下側では、髪色・アイシャドー・リップのおすすめの色をカラーパレットを用いて提案する。パッと見ただけで直感的に理解できる画面構成を目指した。