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心と体

ジェンダーフリーコスメブランドの企画

17Z1-065 佐藤 麻綾
日本では古くから『化粧=女性らしいモノ』としてステレオタイプ化されてきました。『化粧=性別関係なく、していいモノ』という認識に変われば、救われる、もっと人生が豊かになる人もいるのではないかと考えます。
様々な調査を行った結果から、新しいジェンダーフリーコスメブランドを提案します。
ジェンダー雑貨社会
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化粧=性別関係なく、していいモノ

 新しいジェンダーフリーコスメブランドの提案にいたった理由は、2つあります。
 1つは、「日本における未成熟なジェンダーに対する認識」です。
 ジェンダーフリー[※1]の思想を広めていくことを考える時に、障害となってくるのが、「ジェンダーステレオタイプ[※2]」です。ジェンダーステレオタイプとは、個人が成長していく過程で、無意識に学習し、思想に根付いてしまった「女らしさ」、「男らしさ」という固定観念のことです。
 日本では古くから「化粧=女性らしいモノ」としてステレオタイプ化されてきました。日本のジェンダーに対する認識が成熟し、「化粧=性別関係なく、していいモノ」という認識に変われば、救われたり、もっと人生が豊かになったりする人もいるのではないかと考えます。
 もう1つの理由は、「化粧品を購入するハードルの高さ」からです。男性によるメイクアップも見られるようになってきた現代ですが、化粧品を購入することにハードルを感じる人は多いのではないでしょうか。そのような人々がコスメを購入する際、一番敷居が低い場所がインターネットだと考えます。
 しかし、インターネットは、誰でも手軽に購入できるというメリットがある分、デメリットもあります。それは、「手に取り」、「目で見て」、「試してから」購入することができないことです。そのような現代社会の状況から、化粧品購入に対するハードルの高さを軽減することができる方法はないかと考えました。
 以上のことから、ジェンダーフリーの思想に則した、性別に関係なく、手軽に手に取れる「ジェンダーフリーコスメのブランド」を企画しました。

※1 ジェンダーフリー
広辞苑には、ジェンダーフリーとは「社会的・文化的に形成された性差別の克服を目指す考え」と記載されています。

※2 ジェンダーステレオタイプ
心理学者である青野篤子氏・森永康子氏・土肥伊都子氏は、著書『ジェンダーの心理学〔改訂版〕「男女の思いこみ」を科学する』(ミネルヴァ書房 2014年1月30日、32ページ)で、ジェンダーステレオタイプについて以下のように説明しています。「ジェンダー・ステレオタイプは、社会や国、年齢を超えて、ある程度人々に共有された、男女に対する思い込みである。それと同時に個人の心の中では認知の枠組み(スキーマ)として働く」。

気軽に手に取れる、みんなのスタートアップコスメ

 ブランド名は、「eyes on me」です。「eyes on me」は、ステレオタイプにカテゴライズされる女性だけに訴求するブランドではなく、多様な人に訴求する「気軽に手に取れる、みんなのスタートアップコスメ」をコンセプトとしています。
 ロゴフォントは曲線と直線が混ざっているデザインのフォントにすることで、多様性を表現しています。ターゲットは、10~20代の学生・社会人の男女。特に、LGBTQ+で悩んでいる人や、今までコスメに興味はあったが手に取れなかった男性です。
 そんな人たちに、このジェンダーフリーコスメを使用してもらい、性を確立しなくても自由に自分を楽しんでもらいたい、そのような考えから、敷居の低いブランドや商品になるよう工夫しています。
 主力となる商品プロダクトは、口紅です。商品の名前は「chayu」です。韓国語の自由を意味する言葉「자유(チャユ)」が由来です。特に工夫した点は、サイズとカラーです。触覚や視覚の側面からターゲットに寄り添ったデザインにすることを心がけました。
 サイズは、いわゆる薬用リップのサイズで、 縦 67mm、横 15mm。薬用リップのサイズを選んだ理由は、手に取りやすさや、使用しやすさを重視したからです。従来のリップと比べると、サイズは小さめです。薬用リップであれば、実際に男性が使用しているところを何度か見かけたことがあり、敷居が低く、手に取りやすいと考えました。
 使用カラーは、白と青緑の2色です。従来の口紅は、リップの色が伝わりやすいような、赤やピンクなどを使用した製品が多いです。しかし。青や緑などを使用し、性別に関係なく手に取りやすくなるよう配慮しました。

自己表現をする手段の一つとして、手に取ってもらいたいという思いを込め、「Keep your eyes on me」という言葉からとりました。

「chayu」のロゴフォントは「Stanley」を使用しました。丸と角の2つの要素を含む、このフォントによって、ジェンダーの多様性が感じられるデザインにしました。

男女のモデルを起用したポスター広告

 ポスターでは、モデルとして男性と女性を起用し、それぞれ一人ずつの写真と、男性女性二人の写真を撮影しました。男性モデル一人の写真ではLGBTQ+の方や男性に向けて、女性モデル一人の写真ではコスメが好きな方に向けて、ポスターを作りました。男女二人の写真では、ジェンダーフリーを表現することと、カップルでの使用がイメージできるよう意図し制作を進めました。計3種のポスターで広いジェンダーの方々に訴求出来ると考えます。
 カラーは、プロダクトで使用した青緑・白の2色と、衣装や小物で使用したオレンジの合計3色を使用することで、まとまりのある印象になるよう配慮しました。
 以上の企画が化粧行動に対する悩みを抱えている方にとって、少しでも救いになればと考えます。

キャッチコピーは「“自分の好き“になれる」。自分「を」ではなく、自分「の」とすることで、周りの人とは違っていても良い、共感してくれる人が近くにいなくても良い、ただ「自分の好き」を表現できる手助けをするのはあなたにしかできない、という意味を込めました。

佐藤 麻綾

好きな授業
卒業研究。自分の好きなテーマで、好きなことを活かして制作できたので純粋に楽しかった。この授業のおかげで自分の好きなコトを改めて確認できた。
土田ゼミ♡。ゼミのメンバーにも先生にも沢山お世話になった。

学部を振り返って
良い友達、良い先生に恵まれて最強だった。
これから歳を重ねていっても、定期的に連絡を取り合って、ずっと仲良くしていたいなと思える友達と沢山出会えた。私のことを助けてくれたり、支えてくれたりした友達や先生に感謝しています。

学部で身につけた力
本当の意味でのデザイン力。
過去の私は「デザイン力=美的構成力」というイメージを持っていた。しかし、デザイン学部で学んで、デザイン力とは企画力や表現力だとわかり、それを身につけられたと感じる。