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教育

こども向け教育教材「FIT」の提案

17Z1-130 吉原 友希
 人によって「学びやすさ」には違いがあります。学びやすい勉強方法を「自分で選ぶこと」ができたら、今よりももっと勉強が楽しくなるのではないでしょうか。
 そこで本研究は「世界の教育方法」や「感覚特性」を参考にし、自分の感覚に応じた学びやすい学習方法を選ぶことができる、こども向けの教育教材「FIT」を提案いたします。
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世界の教育方法と感覚特性

 まず、日本の教育方法と世界の教育方法の傾向を比較調査しました。世界には教育方法がたくさんあり、それぞれに理念や目的が存在します。中でも有名な教育方法は、「モンテッソーリ教育」や「シュタイナー教育」「レッジョエミリア教育」です。これらの教育方法を調査した結果、世界ではこどもたち自身が、興味関心のあることを考え、自ら選んで学習していました。
 日本の学校教育は、基本的に「クラス制度」を採用した集団教育です。30人程度のクラス単位で、一方通行の講義形式で授業がすすみます。そのため、個人の成長段階や学習スピードに寄り添えていません。この集団教育が、こどもひとりひとりのペースに合わせられず、授業についていけなくなり、勉強嫌いになるこどもを増やす原因になっているのではないかと考えます。
 そこで、この「ひとりひとりの興味関心を尊重すること」をキーワードに「学習方法」をさらに深く調査しました。その結果、人は学び方によって、学びやすさに違いがあることがわかりました。
 人によって、物事を理解したり、覚えたりする際の学びやすさには違いがあります。これを「感覚特性」といい、「視覚」「聴覚」「身体感覚」3つに分類することができます。この感覚特性という考え方を応用することで、こどもたちひとりひとりに寄り添った教育をすすめることができるのではないかと考えました。
 以上のような経緯を踏まえ、ひとりひとりが、自分の優位な感覚特性に合わせた学習方法を選べる教材の提案をすることにしました。学びやすさの違いがあることを補うことができ、楽しく学ぶことができると考えます。

世界の教育方法
□モンテッソーリ教育
自己学習力を育てることを目的としています。決まった時間割がなく、こどもひとりひとりが自ら考えてカリキュラムを選びます。

□シュタイナー教育
自由への教育という理念があります。自分で考え、自分で感じ、自分の意思で行動することを目指します。

□レッジョエミリア教育
芸術による教育を通して、知的好奇心を引き出すことを目指します。時間割がなく、こどもたち自身が興味関心のあるものを探すことから始めます。

感覚特性
□視覚
イラストや図、色彩を使うことで、理解しやすく見たものをそのまま記憶します。

□聴覚
言葉や語呂を耳で聞いたり声に出して読むことで、理解しやすく覚えやすいです。

□身体感覚
書いたり身体を動かしたりすることで、その体験が記憶に繋がります。

自分の感覚に応じて学びやすい学習方法を選べる教材「FIT」

 上記を踏まえ、「自分の感覚特性に応じた学びやすい学習方法を選べる教材「FIT」を提案いたします。
 教材の構成は、3タイプ共通の教科書が1冊と感覚特性に合わせた補助教材が1冊です。教科書の内容をこどもの感覚特性に合わせて学んでもらうために、3タイプの補助教材を活用します。
 視覚タイプは、目で見たイラストや短い言葉を理解・暗記することが得意なため、イラストや色を多く使いました。さらに、何度も繰り返し見て学習できるように赤シートで隠しながら学習ができます。
 聴覚タイプは、耳で聞いた文章やリズムを理解・暗記することが得意です。そのため、教科書の文章に加えて語呂を使い覚えることができ、さらに赤シートで繰り返し音読しながら学習ができます。
 身体感覚タイプは、書いたり手を動かしたりすることで理解・暗記します。そのため、補助教材では、なぞる、貼る、塗る、調べるなど、実際に手を動かして学習していきます。補助教材をコピーすることで繰り返し学習ができます。
 以上が、3タイプそれぞれの補助教材の説明です。こどもたちの学びやすさと学習ペースに合わせて自由に学ぶことができれば、勉強が楽しいと思えるのではないでしょうか。

教科・分野
今回は試作として、社会科、歴史分野から「飛鳥時代」に設定して制作いたしました。

教科書の提案
教科書は3タイプ共通です。感覚特性は活用しておらず、詳しい説明や多くの資料などを載せています。また、優しい色彩に統一することで見やすく、疲れにくくなっています。

まとめ

 この研究に至ったきっかけは、自分が勉強嫌いだったからです。理解するのが遅く、授業についていけなくなり、勉強がつまらなくなってしまいました。もっと、自分のペースに合わせて楽しく学ぶことができれば、勉強に対する意欲もあがるのではないかと考えこの研究に至りました。
 日本の集団教育があたりまえだと思っていましたが、この研究を通してまだまだ教育方法には進化する可能性があることがわかりました。日本でも、個性を尊重するような教育方法が導入されることを願っています。また私自身、感覚特性を普段から意識するようになりました。私はノートなどにイラストや図にまとめて、情報を整理することで理解していくため、身体感覚タイプだと思われます。自分の特性を自覚し、この研究で学んだことを活かしていきたいと思います。
 勉強嫌いのこどもを減らすために、この研究が学習方法の発展に少しでも役立てばと思います。

吉原 友希

好きな授業
「グラフィックデザイン」と3年後期の「企画表現演習5」です。
どちらも制作中心で、デザイン学部らしい授業でしたが「企画力」が重要な授業でした。表現力も企画力も同時に学ぶことができた授業です。

学部を振り返って
少し後悔があります。
もっと授業や課題を真剣に取り組んでいれば、今よりもっと 表現力と企画力が身についたかもしれません。それくらい周りの学生はすごい人ばかりです。

学部で身についた力
「企画力」です。
デザイン学部に入ってこんなに「企画」をするとは思っていませんでしたし、今では「企画」を仕事にしたいとも考えています。明星大学デザイン学部で企画の大切さと楽しさを学びました。