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教育

「教育の明星大学」とは何か

明星大学の「広報」から読み解く
17Z1-086 髙舘 健悟
私は、明星大学が「教育の明星大学」と言われていることを知らずに入学してきた。そのため、デザイン学部生として「悔しい」と思ったことが研究の始まりである。東京に来てすぐの頃、「あそこは教育の明星大学だからね」と言われるような始末。これを機に、大学1年生の頃から、絶対に卒業研究では、このことについて触れるのだと決心していた。
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「大学」における広報

 近年、どの大学も「広報活動」に力を入れるようになった。その背景には、少子高齢化が関わっている。少子高齢化により、若者が減少し、大学間での学生獲得競争が起こるようになった。また、大学数が増えたことも、学生獲得競争を激化させた要因となっている。少子高齢化による若者の減少と大学数の増加により、大学間での学生獲得競争は激しくなってきている。そのような中で、各大学は「広報」に力を入れ、新しい学生の獲得に力を入れるようになっていったのである。
 明星大学には、広報課を含め、約30の部署が存在する。そして、2020年から新学長として落合学長が就任した。落合学長は、大学広報の特徴として、専門家のいないケースがほとんどである中、広報改革の指揮をとるために、デザイン学部の西本剛巳教授を学長補佐に抜擢した。西本教授はデザイン学部の学部長を務めていたこともあり、広報に関して無類の強さを発揮される。これを機に、明星大学の広報が戦略的に強化されたわけだが、現時点で広報課のメンバーは、3~4人のみで構成されている。少人数で構成されている訳は、大学内の施設や機関がそれぞれの広報を行っているためである。実際、広報課の担当は、外部に発信する情報やホームページに転載する内容をまとめることがメインである。現在の大学広報は、落合学長のスピード感ある行動と西本教授の学内広報により、徐々に強化されている。しかし、広報がデザインの力により、注視されるようになったものの、未だ細部まで行き渡っていない。それというのも、学部学科や学内イベントの情報を把握するだけでも、広報課の少ない人員では困難なためである。よって、情報を広報課がキャッチするまで時間がかかり、広報されないままのケースがあるのだ。しかし、明星大学だからこそできる広報もある。全部署が集約するキャンパスは、学部学科や大学施設間での連携が非常に取りやすいのだ。明星大学の広報は、小回りがきき、他大学より活発にできる可能性を秘めているのだ。

標語と女子学生が一緒に写っている看板。例年、新しく変更され、女子学生の中から選ばれている。https://www.meisei-u.ac.jp/academics/education/

教育の明星大学とは

 平成20年に「教育の明星大学」という標語ができた。この標語ができた背景には、「ゼミの武蔵」と言われる武蔵大学があるように、強みが欲しいという想いがあった。この標語は、教育機関として当たり前のことを大体的にアピールし、明星大学を世間に広めていった。実際、平成20年以降の明星大学の受験者数は右肩上がりになっている。これは、紛れもなく「教育の明星大学」という標語がもたらした成果である。しかし、「教育の明星大学」の真相には、間違いなく「教育学部の明星大学」という意味があると私は考える。明星学苑の教育方針には「実践躬行」の体験教育というものがある。これは、考えることと体験することのバランスが学びの上で大切だという意味である。このことを踏まえ、改めて標語について考えると、「実践躬行の明星大学」や「体験の明星大学」でも真意的に良いはずである。よって、やはり「教育の明星大学」には「教育学部の明星大学」という意味が含まれていると考えられる。しかし、今後、「教育の明星大学」は衰退していくのではないかと考えられる。このことについても、少子高齢化が関わっており、若い年代、つまり「教育」を受けるべき人たちが減っていくためである。少子高齢化は今後、間違いなく教育の必要性を減らしていく。よって、「教育の明星大学」というレッテルは、もはや時代遅れだと言える。
 コロナウイルスの影響で、オンライン授業が主流となる中、明星大学ホームページの良いところと悪いところを探す授業があった。そこでの意見は、「教育の明星大学が良い」と応える学生が多かったという。また、私が明星大学の学生を対象に行ったアンケートでは、およそ60%の学生が「教育の明星大学という標語に違和感を覚えたことはない」と応えた。このことから、「教育の明星大学」という標語は、決して不評という訳ではない。しかし、日本社会の流れとともに新しくなっていくべきだと考えた。

Googleフォームを利用して、SNSにて明星大学の学生を対象にアンケートを実施した。「教育の明星大学」という言葉に対しての印象を聞いたところ、この言葉に対して、「違和感がない」と回答した学生が多少多くなった。

未来の「教育の明星大学」

 現状、「教育の明星大学」について不満を抱いている人は少なくない。また、「教育の明星大学が良い」という意見もある一方で、教育の需要が減っていくことを想定した場合、この標語は廃れてしまうのではないかと考えられる。そのため「教育の明星大学」も尊重しつつ、誰からも愛されるような新しい標語を考えることが、最もみんなから支持される企画になると考えた。
 まず学生に対してアンケートを行い、そこから見えた「明星大学の強み」を参考にして、25個の標語を考えた。さらに、今後の明星大学の広報に「学生の意見」が反映されるような仕組みづくりを提案したいと考え、年に一回、期間を設けて開催される投票制度を考えた。今回の研究では、新しい標語と学生が広報に携わる仕組みについて考えたが、これを機に明星大学がさらに社会に認知され、学生と大学関係者一人ひとりが明星大学をよりよく広報していくことを望んでいます。

「教育の明星大学」に代わる新しい標語全25種類。標語のみだと、それに込められた具体的な意味が伝わらないという懸念から、サブタイトルも付随したかたちになっている。明星大学の学生を対象に行ったアンケートで得られた「明星大学の良いところ」の回答を参考に考えたもの。

髙舘 健悟

好きな授業
私が好きな授業は、「コンピュータ表現基礎実習2」です。1年生の後期に、Premiereを使い、映像制作を体験できる授業です。この授業のおかげで、普段閲覧している動画がどのように作られているのかを知ることができました。

学部を振り返って
課題が多く大変な4年間でしたが、社会人になる上で、必要な力を身に付けることができました。わからないことがあったときに、仲間や学部の先生が近くにいたので、頼れる人たちの集団だと思っています。

学部で身につけた力
コンピュータを用い、何かを制作する力が格段に上がったと思います。高校までスポーツや座学にばかり熱心に取り組んできましたが、コンピュータ音痴であった私が「制作好き」になり、熱中できることが1つ増えました。