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新しいお茶ギフトの提案

17Z1-036 加藤 早百合
私たちが普段何気なく飲んでいるお茶には様々な健康効果やリラックス作用があります。しかし、その効果を充分に得るためには急須の存在が必要不可欠になります。ペットボトルやティーバッグなど急須の代用品が蔓延する今日において、ギフトというアプローチで若い世代に茶葉や茶器の魅力を発信するためにお茶やギフトに関する研究を行いました。
若者贈る雑貨
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お茶とギフトの調査結果と共通点

 お茶には健康や美容に優れた様々な栄養成分が含まれています。特に、私たちがよく口にする緑茶には体脂肪減少や生活習慣病予防の効果が期待できるカテキンや 眠気覚ましや疲労回復の作用があるカフェインなどが含まれているため、緑茶を習慣的に飲むことで高い健康効果を実感することができます。また、アミノ酸やミネラル類などが多く含まれていることから美肌効果やリラックス作用も期待できることから、緑茶は忙しい20代から30代の女性にぴったりな飲み物だということがわかります。
 しかし、緑茶効果を充分に得るためには、抽出時間にこだわる必要があります。ペットボトルのお茶は保存用に加工されているため、抽出時間の経過が著しく栄養成分の含有量が減少してしまいます。それに比べて急須で淹れたお茶は抽出直後なので鮮度が高く、栄養成分も豊富に含まれています。そのため、お茶を飲むときは急須を使用したほうがよりお茶本来の風味や効果を実感することができます。
 近年ギフトという文化は時代に合わせて多様化しています。もともと縄文時代の分配という概念からはじまったギフトは人々と神を繋ぐ収穫祭を経て今日のような形態に進化しました。最近では体験型ギフトという新しいギフトの形態が誕生し、アウトドアやリラクゼーションなどの「コト」を贈るギフトが注目されています。
 お茶とギフトの共通点は「相手へのおもてなし精神」だと考えます。急須で淹れたお茶は本格的な風味を味わえるだけではなく、飲む相手の気分や体調を気遣うことにも繋がっています。なぜなら、相手の好みに合わせて茶葉を選んだり体調に配慮してお湯の温度を調節したりできることが急須の醍醐味であるからです。このような相手を思いやる精神はギフトを選ぶときの相手への思いやり精神と類似してい ると考えます。相手のことを第一に考えるお茶とギフトの精神を融合させ、より感謝の気持ちが伝わるギフトを提案します。

急須で淹れたお茶とペットボトルのお茶ではアミノ酸の含有量が6倍、カテキンの含有量が3倍も異なります。(調査から筆者作成)

20代の女性にお茶を飲む頻度を尋ねた結果、半分以上の方が毎日飲むと回答しており、ほとんどの方が定期的にお茶を飲むという結果になりました。つまり、私たちの生活にお茶は欠かせない飲料であり、飲茶という習慣はライフスタイルに深く根付いているということがわかります。

新しいお茶ギフト「選茶万別」の概要

 今回提案するお茶ギフト「選茶万別」は様々な茶葉や茶器のなかから贈る相手がギフトの内容を選べるギフトセットです。専用WEBサイトから茶葉やお茶請け、急須や湯呑みを組み合わせて予算に合わせたギフトを作ることができます。茶葉には狭山茶を使用し、お茶請けには狭山地方のお菓子を使用しています。茶器にはグッドデザイン賞の受賞歴がある急須を採用しました。また、ギフトセットには選んだ商品のほかにラインナップの一部である狭山茶とギフトの内容を紹介するリーフレットと緑茶の効果と美味しい緑茶の飲み方が記載されているカードが同封されており、お茶や茶器に対する関心度向上を狙っています。

ロゴマークには篆書体を採用し、古風でシンプルなデザインを目指しました。文字を囲む六角形は箱の外周をイメージしており、選べるお茶セットがギフトボックスで届くというサービスを表現しています。

研究のまとめ

 お茶の飲み方やギフトの在り方が多様化している現代においても、相手を思って お茶を淹れたりギフトを選んだりするという気持ちは昔から変わりません。贈る側 が相手の好みを想像して茶器やお茶請けを選び、その好意を温かいお茶と一緒にじっくり味わうのも新しいコミュニケーションの形だと考えます。
 本研究で提案するお茶ギフト「選茶万別」は意識的にお茶の効果や茶器の奥深さに触れてもらい、古き良き茶文化を再認識してもらうことを狙っています。特に、 便利を好み急須に馴染みがない若者にこのギフトを利用してもらい、淹れたてのお茶の風味やお茶から始まるコミュニケーションを体験してもらうことでお茶の魅力 を再発見できると考えます。
 また、相手を尊重する精神が重要視される茶文化と贈答文化は相性が良いのでお茶ギフトは感謝の気持ちを伝える手段に適しています。このギフトを利用してもらうことで心身ともに健康的でいられることを期待しています。

加藤 早百合

好きな授業
私が好きな授業は3年生のときに履修した「インテリアC」です。この授業では主にCADソフトを用いて物販カフェの企画を行いました。本格的にCADソフトを使ったのが初めてだったので終始苦戦しましたが、理想の空間が形になる過程が面白かったです。

学部を振り返って
デザイン学部での4年間ははじめての連続でたくさんの貴重な経験をさせてもらいました。ゼロから企画を考えたりアイディアを形したりすることは難しかったですが、色々なことにチャレンジできたからこそ、物事を柔軟に考えられるようになった気がします。

学部で身につけた力
デザイン学部で身についた力は発想力です。学部の授業で発想法を学んだり実践したりする機会が多かったので進級するごとに企画会議や授業内で出るアイディアの数が増えたと実感しています。短時間で企画案が数十個も出るようになったことは大きな成長です。