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教育

デザインの汎用力は社会に通じるか

17Z1-116 松田 竜磨
この数年で事前に長い目標を設定し実行プログラムを丁寧になぞる行動パターンが通用しなくなり、要所要所で形を変えながら変化に対処する方法が求められる世の中になった。我々が学んできたデザインは問題を解決に導く方法を探る力である。コロナ渦という環境を舞台にデザインの力で企画を立ち上げ、デザインと社会の関係性について探る。
大学(学生)社会
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デザインという言葉の意味

日本人のほとんどがデザインという言葉を聞き、一番最初に思い浮かぶ言葉は「お絵かき」や「ものづくり」のような何かを形成し外観を作る作業だ。しかしこれはデザインの内容のごく一部であり、ギリギリ間違ってはいないが本来の意味や存在価値ともほとんど合致していない内容だ。しかしこれは明星大学のデザイン学部に入る前のボクや他の友達の生徒もみんな思っていたことで、デザインを学び出すものたちにとっても最初にぶつかる壁であり、同時に自由に絵を描くつもりでいた決して少なく無い新入生に取ってはショッキングな内容でもあった。しかし、じゃあ今大学でならったデザインを説明しろと言われても、かなり難しいと思われる。な ぜならデザインという言葉は、多くの意味を含んでおり、一概に「こうだ、」と説明できないものだからだ。「お絵かき」や「ものづくり」という表現も決して間違った説明では無い。企画を行い、それを人に説明するにあたって、そして、この卒業研究を進めていくにあたって、ここの壁はどうしても乗り越えなくてはならない。「自由に自分が描きたいものを描いたり自己表現を行う美術とは似て全く非なるものであり、自己表現というよりもむしろクライアントの為に、クライアントが本当に欲しているものを考えることが重要である。そして「デザインとは具体的な問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現すること」とかかれている通り様々な場面においても、問題を解決するための方法を作るという面がつよく、つまり「解決するための方法を制作する方法」直接的に解決を目指すのではなく、解決に向かうための物事に取り巻く環境や、問題、顧客の素性、客の層などを考慮して工夫して解決を目指すシステムを作るものと捉える事ができる。その方法の中に広告やポスターやプロダクト的な制作する方法である「おえかき」や「ものづくり」なども含まれていると捉える事が正しいだろう。

画像引用:https://www.meisei-u.ac.jp/academics/design/devpartment/

デザインを活かした新入生への授業を企画する

デザイン学部で行われている企画表現演習をなぞる形で4月ごろから企画を構想していく。問題定義の部分として、今世間ではコロナによる何よりも大きな社会の変動がある。今回はこのコロナ渦によって生まれた多くの問題に目をむける。コロナによって起こった最も大きな変化の一つと言えば、外出自粛によるものが多い。全体的には自分の時間が増えた人たちが多く、コロナにより営業関連がストップしてしまった人を除けば、比較的に人生の休憩時間として充実したものとして過ごしている人が多い。しかし逆に、突然の抑制により大きなストレスを感じている人も少なくない。中でも特に僕らに目についたのはtwitterでもトレンドとして上がっていた大学一年生の叫びであるデザインで変化の激しい社会を乗り越える力をつける
思いついた一つの案はデザイン学部の卒業生として現役の明星大学生相手に授業を行うことだ。先ほど書いた通り明星大学デザイン学部の企画表現演習の授業をなぞる形の授業を全学共通の授業として行うことを考えた。企画をまとめていく中でその授業で生まれたコミュニティも残るものにしていきたい。これらは他学部にとっても企画表現演習の授業で得られる提案力や発想力表現力、コミュニケーション力など社会に出てから大きく評価されるポイントをストイックに伸ばすこともでき、今後あるであろう展開の予行練習になる。デザイン学部生に対しては既に企画表現演習で学ぶので二度手間に感じてしまうが、デザイン学部にとって企画表現演習とは非常に大事な授業であり、ざっくりとした内容を事前に予習しておくことは、今後企画表現演習の授業を受ける姿勢、授業の全体的な達成度、そして授業を終えた後の内容の吸収度は遥かに大きくなることが期待できる。

画像引用:https://twitter.com/D6Hy1q0FQJuxtPO/status/1284137078914076673

授業企画に対する関係者の反応と、今後の展開

これらの企画した授業を実際に学生サポートセンターの局員の方達に見せに行き、この企画を成立させるために行うべきことや、企画自体に足りない部分や考え、これらの提案を学校側に認めてもらいやすくするための方法などをお聞きし、私のデザインの考えと実際の社会の内容の摩擦を探っていきながら、いただいた評価から、今回の研究の本意である今後の社会におけるデザインの必要性を見つけていきたい。実際に学生サポートセンターに足を運び話を聞き内容をまとめると、授業の方は教員免許がないと難しいということだ、これなしには少なくとも支援金などは発生し得ないだろう。実際に教育学部の友達に協力してもらうことで解決はできないか。新しい組織という面では現学長の落合 一泰さんが学内目標としているサードプレイス(授業関係なく生徒達が集まって自由にコミュニケーションが取れる場所)とに適しており、内容自体も難しくはないのではないかと考えられる。そもそも支援金を獲得するにはそれ相応の大義名分がなくてはいけない。多くの賛同者を募りみんなに共感し得る程に企画を磨いていく必要がある。共感を得るということは学部長が求めていた物という扱いではなく、しっかりと学部長に話を通してお墨付きを得なければならない。そうして外堀を埋め、許可さえもらえれば始められる状態、そして企画による効力を証明するデータを揃えてこそ企画の提案が成立し学校側も話を聞く気になるだろうということだった。デザインそのものの認識がまだ弱く、コレらの提案をするたびにまずデザインがどういうものなのかの誤解を解いて行かなくてはならなかった。デザインは変動の大きな社会との親和性は高く、状況把握のための経済学や物事を動かす経営学と合わされば能力はさらに大きくなることが期待できるが、社会そのものからのデザインへの認識の弱さやそれによる立場の低さを鑑みると現時点ではまだデザインで社会を変えることは難しいだろう。

松田 竜磨

好きな授業
グラフィックデザイン:グラフィックデザインでの基本的な考え方を身につけることが出来、本格的に勉強していくきっかけになった授業。今では少しずつフリーでお仕事もいただけるようになった。

学部を振り返って
どの先生もわからないところを質問すれば丁寧に教えてくれる。幅広くジャンルを扱っているので、授業だけでその分野を極めることは難しいが、逆にいうと様々分野において一歩目を踏み出すきっかけをくれる。

学部で身につけた力
デザインの基礎的な考え方。グラフィックデザインに関してもデザイン思考に関しても基礎的な考え方を無意識の中で行えるようになった。また他者の作る作品の中でそれらを強く考えられている作品やそうではない作品を見極められるようになってきた。