カテゴリー
心と体

四肢の機能を回復するVR技術の活用

17Z1-019 岩佐 颯峻
アニメがきっかけとなって興味をもったフルダイブ型VR機器を患者数が増加してきているリハビリの治療に活用する企画を提案する。企画立案のために調査を進め、調査結果の分析で見えてきたリハビリの単調化、人手不足、心身への負担、高額な費用という問題に対し解決策として脳波で操作するVRをレンタルサービスとして提供する企画を提案する。
心理医療ガジェット
プレゼン動画を見る!

調査・分析

 企画提案のためリハビリ・心理学・VR技術・ブレインマシンインターフェースレンタルの5点について調査を進めた。リハビリの調査では早期離床、早期回復をするために急性期からの施術が必要で、これは神経可塑性[※1]によって機能回復が生じやすい期間が発症後から約3ヶ月の間だからだ。また段階ごとに異なった専門性が必要なため人手が不足していて、治療期間が長くなることで治療費が高額になるということがわかった。心理学の調査では自己移動感覚という自分が動いていると感じる感覚があり、オプティカルフロー[※2]による視覚の運動が大きな要因と考えられているものがあるとわかった。例として海外でマッドハウスと呼ばれている回転部屋やスターツアーズなどがある。VR技術の調査では機器には大きく3種類あり、スタンドアローン型と呼ばれる機器のみで使用することができるもの、PC接続型と呼ばれるPCとつなげて使うもの、スマホ利用型と呼ばれる安価なものがある。認知度は7割と高いが非所有者のうち購入意欲があるのは3割ととても低いことがわかった。[※3]ブレインマシンインターフェースの調査では侵襲型BMIと非侵襲型BMI[※4]というものがあることがわかった。消費電力の増大と複雑化による厳密制御の破綻により一般化できていない。レンタルの調査では機器を購入しようとすると3〜5万円と高額になっていて費用がさらに高額になってしまう。また1つの商品で何度も利益を出せる、店舗が不要で少人数でできるなどのメリットがあるが、破損のリスクや保管場所が必要などのデメリットがあることがわかった。具体的事例についてはVRと外骨格ロボを用いて下肢麻痺患者8人全員が足の一部の感覚と筋肉をコントロールする力が戻った例があることがわかった。
 調査結果を元に分析を行ったところ、解決すべき問題として、同じ場所で同じことを繰り返し行うので、リハビリが単調になり患者のやる気がなくなってしまう、急性期病棟では早期離床、早期回復のための人手が不足していて患者への施術が遅れてしまう、リハビリや侵襲型BMIは患者に対し身体的・精神的に大きな負担がかかり悪化や合併症を引き起こす可能性がある、機器を購入する意欲はほとんどなく購入にも費用がかかり治療費が高額になってしまうといった問題が見えてきた。

※1 神経可塑性
機能の回復が生じやすい期間で、発症から約3ヶ月間程度の期間のこと。

※2 オプティカルフロー
静止している人に提示すると動いているように感じ自己移動感覚を与えることができる。

※3 認知度
平均して認知度は高い。https://lab.testee.co/2020-vrar-result

※4 侵襲型・非侵襲型BMI
侵襲型:手術で電極を脳に埋め込み正確に計測できるが負担が大きい。
非侵襲型:電極を被ったり額につけたりするもので正確な計測が難しいが負担が少ない。

企画提案

 本研究では上図のような仕組みの、脳波で操作するVRでのリハビリのレンタルサービスを企画した。このレンタルサービスは調査分析から見えてきた従来のリハビリの問題[※1]を4つの観点から解決する。1リハビリの単調化はVRの没入感により患者を飽きさせない、2人手不足はVRでリハビリを行うことで付きっきりにならなくて良い、3心身への負担は非侵襲型BMIで脳波を用いることで動かずにリハビリすることができる、4費用の増加は機器をレンタルにすることでそれぞれのペースに合わせて使用できるので費用が抑えられる。まず、VR画面内で脳波を用いて操作するリハビリのトレーニングゲームを行う。操作・設定を誰でもできるようにし、機器は購入意欲が少ないためレンタルで貸し出しを行う。そうすることで早期からリハビリを開始することができ、機能回復が見込める。
 VRアプリは脳波とVRを用いることで単調化・人手不足・負担の問題を解決できる。内容はRPGをリハビリと組み合わせ、リハビリ動作を難しさや辛さで難易度を変えクエスト[※2]のように取り組む。クエストには起き上がるや座る、階段を登るなどの動作があり、それぞれに目的のリハビリ効果がある。この動作は急性期病棟で行うリハビリを参考にし取り入れている。さらに他の治療中の患者と一緒にクエストに行くことができ、同じ症状の人と取り組むことでやる気を出して楽しんで取り組んでもらえる。
 レンタルサービス[※3]は必要な期間だけ使用することができるので高額な費用の問題を解決できる。内容については機器をレンタルすることで既存のリハビリの総費用より安くなり、操作設定を誰でもできるように説明書を同梱しすぐ発送できるように保管しておく。レンタルなので常に最新の機器を提供することができ、少人数で利益を出すことができる。

※1 従来のリハビリの問題
従来のリハビリの治療から退院までの流れとその中で起こっている問題を表したもの。

※2 クエスト内容
レベルによって負荷が変わり、それぞれの行動でリハビリする目的の効果が違う。

※3 レンタルサービス
レンタルの際のそれぞれに対するメリットや改善される問題点を図にした。

検証・今後の展開

 検証として企画提案について医療関係者の方に聞いてみた。[※1]この意見より調査・分析から見えた単調化・人手不足・心身の負担・高額な費用の問題を解決することができると見込まれる。
 今後の展開としてはVRアプリのバリエーションが少なく、若者向けに作成したため高齢者や小さい子向けのもの、RPGだけではなく他ジャンルのアプリなどさまざまな内容のものを作成したい。また脳波による寝たきりのリハビリの効果がどれほどのものなのか検証を何度も重ねて精度や効果の向上を図り、高齢者や小さい子でも安全に効率よく使えるようにしたい。

※1 医療関係者の意見
・脳波とVRを用いることで患者の負担を減らすことができると思う
・VRを取り入れることで関わる療法士の人数を減らすことができ、人手不足を改善できると思う
・レンタルすることで費用が抑えられ早期からリハビリを開始できると思う

岩佐 颯峻

好きな授業
私が好きな授業は、「メディアデザインB」です。2年生の時の授業で、プログラミングを学ぶことができるものです。この授業を選んだ理由は、昔からプログラミングに今日にがあり学んでみたいと考えていたからです。

学部を振り返って
デザイン学部特有の企画表現演習など中々体験することのできない経験を多くすることができた大学生活でした。また、幅広く学ぶことができ選ぶことができるので自分のやりたいことを探すことができました。。

学部で身につけた力
企画表現演習で、企画する方法や考え方、それをどう伝えるかなどデザインするにあたっての工程を学びました。また、協力しながら取り組むことでもともと苦手だったコミニュケーション力も身につける事ができました。