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おもてなしのエコ包装

17Z1-023 榎本 麻那
環境問題の対策と日本文化の継承を解決するために、考えられたお歳暮のパッケージ デザイン。ゴミ問題を解決すべく、段ボールで新しい価値を見出し、日本らしさを、着物として表現し、多くの人に知ってもらおうとした研究。環境も忘れず、優しさも忘れず和のこころ包むパッケージ デザイン。
伝統贈る環境(問題)
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いろいろ対応可能な、お歳暮エコパッケージ

 今回の研究テーマには、より多くの日本人が認知している、ギフトの代表格であるお歳暮に決めた。
 日本では、年の瀬に歳神様へのお供え物をしていた。それが、嫁いだ先や分家した先から、親や本家へ歳神様へのお供え物を贈るようになったのが始まりとされている。そして、室町時代には、年の瀬に、お世話になった人への感謝の印として贈る習慣に変わった。
 今でも、年の瀬恒例の贈答の機会となっている。現在では、お歳暮の中身は、和菓子だけでなく、洋菓子も多くの人に親しまれている。
 そのような多様性な和菓子と洋菓子、また、柔らかいお菓子や瓶モノなど、様々な違いに対応するのがこの2種類のパッケージ。
 AとBの2種類作成した。
 まず、右上の写真、Aは、瓶を包むと、上部に空間ができる。そこに、菓子ものを入れることができる。日本酒とおつまみ、洋酒とクッキーやチョコレート、などのように、組み合わせが自由であるという多様性がある。また、上部に菓子ものを包むことができる。15センチ以下の瓶であれば、蓋下の凸に段ボール中央(瓶と菓子部分の仕切り)に固定されることで、パッケージ底と瓶の空間ができるため、衝撃に強い。
 右下の写真、Bは、14cmと、小さめである。パッケージの底が中心に向かって浮いており、衝撃に強いため、割れやすい菓子ものや、10cmから13cmの瓶も包むことができる。
 これらにより、パッケージとして、お歳暮という多様な中身に対応可能な点を考えた。

パッケージAの組み立て過程。
瓶を包み、上部に空間ができる。そこに、菓子ものを入れることで、組み合わせ自由。

パッケージBの組み立て過程。
底中央が地面から浮いており、衝撃に強い。

日本的な包み

 日本の包装は、「入れる」のではなく、「包む」が大事な要素である。
そこで、着物や植物の実である鬼灯(ほおずき)に見立て「包む」という日本らしさを表現した。
 パッケージAの着物は、身体に合わせて着物を着るようにし、のしを帯のように、水引を帯締めのように締めることで表現した。
 また、パッケージBの鬼灯は、皮で実を包むように表現した。

段ボールに価値付け

 エコパッケージとは、環境問題を考慮したパッケージのことである。
 現在の環境問題の中の一つに、ゴミ問題がある。その中でも家庭ゴミの6割は容器包装である。日本には容器包装リサイクル法があるが、全般的には回収率は良くない。
 しかし段ボールは、包装として大量に利用されており、リサイクルシステムが確立、普及していて回収率も95%以上である。そんな段ボールの価値をあげることに注力した。
 しかし、段ボールは、特別な贈り物として利用されることは少ない。したがって、人々が段ボールに対して固定的な意識を持っているのではないかと考えた。
 そこで、段ボールの茶色を日本の色である「茅色(かやいろ)」に見立てることで、日常使いや保管用だけでなく、「贈り物」にも適しているということを表現した。
 以上から、人々が、段ボールに対して無意識に持っている意識を変えることができると考えた。

段ボール色を、日本の色である「茅色」に見立て、和を演出。

榎本 麻那

好きな授業
私が好きな授業は、「デザイン概論」でした。1年時の、デザインの基礎知識を学ぶ必須科目です。どんな知識でも持っていれば絶対に役に立つと、幅広いことに興味を持ち、勉強をする楽しさを知るきっかっけとなった授業です。

学部を振り返って
入学当初は、この学部の特徴である、「幅広く学べる」こと、とてもいいことだと考えていました。一つに絞ることができない、というマイナス面も理解しながら、向き合いながら、勉強ができたら良かったと感じています。

学部で身につけた力
物事を、赤ちゃんの目で見ること、つまり、物事を仕組みとして、純粋に見ることが大事、と叩き込む力を身につけました。その思考のプロセスを踏むことで、形や、現在の形式に惑わされない、新しい仕組作りの鍵になることを学びました。