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学生の居場所となるサードプレイス的空間の提案

17Z1-115 松嶋 美代子
普段学校にいる中で、⼈と⼈が繋がることができてコミュニティ活動が活発に⾏われている空間がないため、学⽣が気軽に同世代と繋がれたり、⾃分の興味があることに挑戦できるような⾃由な空間が⾝近にあったら良いのではないかと考えました。そこで、サードプレイスとコミュニティを掛け合わせた空間の提案をします。
大学(学生)コミュニケーション空間設計
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概要と解決方法

 「サードプレイス[※1]」に着⽬した理由は、私の⼤学⽣活と深く関わっています。模型⼯作室での出会いで繋がりが増え、友⼈関係や学業にも⼤きな影響を及ぼしていることに気づきました。この関わりがあったからこそ、ワークショップという新たな挑戦もして、特別な繋がりになりました。しかしそれ以外では、普段学校にいる中で、⼈と⼈が繋がることができてコミュニティ活動が活発に⾏われている空間がない事に気がつきました。そこで、サードプレイスとコミュニティを掛け合わせた空間の提案を卒業研究のテーマにしました。
 そして、人との繋がりについてや学生の日常などの調査[※2]を行いました。調査を経て問題が3つ出てきました。
 ① 学⽣をターゲットにした交流の場がない。
 ② サードプレイスとして関われる場所がない。
 ③ ⽣きがいを⾒つけ出せるようなきっかけがない。
この問題を解決するためには、⼈との新たな繋がりと心の拠り所が必要だと考えました。その目的は、⼈⽣の選択肢を広げて⾃分なりの道を見つけることです。サードプレイスで新たな⼈と出会うことで、経験や視野は⼤きく広がっていきます。特に、学生は多くの不安を抱えながら⽣活しています。物事に前向きに取り組めるような居場所を作ることで、少しでも不安が軽くなると考えました。

サードプレイス[※1]
⾃宅に帰る前に軽い息抜きができる場所や、リフレッシュしたり新たなやる気を⽣む交流の場のこと。

調査[※2]
学生の日常についてまとめたサイトを参考にしました。2016年以降、「生きがいが見つからず」という回答が急激に増加しています。(引⽤:全国⼤学⽣協連 55 回学⽣⽣活実態調査)

コミュニティカフェ「C:cafe」

 詳しいサードプレイスの定義というものは存在しません。私がサードプレイスの意味を調べる前は、「居⼼地のいい空間」という漠然とした意味合いしか知りませんでした。世の中には、そもそもサードプレイスという⾔葉すら知らない⼈が多いのではないでしょうか。そのため「学⽣をターゲットとしたサードプレイス」という本研究の提案のためには、ここでサードプレイスの意味を再定義[※3]しておく必要があると考えました。本研究ではサードプレイスを「個人が尊重される自由な場」と定義し、提案を行っていきます。
 空間コンセプトは「カフェのように1⼈でも立ち入りやすく、通いたくなる場所」です。本来のカフェとしての⽬的+αとして「コミュニティ」を付け加えます。カフェのように居⼼地が良く、温かみのある内装であると共に、⼈と⼈の繋がり、出会い、創造が⽣まれるような付加価値も空間に込めます。学⽣が通いたくなる便利さを⼤切にして、学校終わりに⼤学の友達と来られるゆったりと開けた広場のような空間にすることで、⾃分達で居場所を作っていくことが「C:cafe」のコンセプトです。開けた空間だけではなく、部屋の奥には個人スペースや会議室などに使用できる空間も設けています。

サードプレイスの再定義[※3]

広場のような自由さや、遊びを目的としたスペースもあります。部屋の奥には本棚があり、⽴ち話ができるようにします。

画面の右奥にはカフェカウンター、中央には街中のベンチをイメージしたソファがあります。全体を見渡すことができる空間です。

「C:cafe」の仕組み

 ⼊り⼝付近に設置された⾃販機には、ターゲットごとに分かれたブレスレット[※4]が⼊っており、「⼀⼈で作業」「休憩」「ご飯」などといった、今の気持ちや利⽤⽬的が書かれています。また、無地のブレスレットに自分で好きな文字を書くこともできます。利⽤者⾃⾝がスレッドとなり、同じ仲間を⾒つけることができます。
 イベントでは、コンサート、座談会、特技披露など、誰でも⾃分について表現できる場を設けようと考えています。週ごとに「学⽣の⽇」「フリーランスの⽇」「⼯作の⽇」「⾳楽の⽇」など、ターゲットによって特定の⽇を設けることで、同じ世代の知り合いを作ることもできるようにします。
 以上の提案によって、楽しく、自由で、新たな繋がりのできるコミュニティ空間ができると考えました。

ブレスレット[※4]
利⽤者⾃⾝がスレッドとなり、同じ利用目的の仲間を⾒つけることができるようにして、利⽤者同⼠が⾃発的に話すことを促します。

画面奥左側には自由に書ける黒板、右側にはイベントが行えるようなステージを設置しました。自然と話すきっかけや、新しい趣味、繋がりも増えると考えました。

松嶋 美代子

好きな授業
好きな授業は特にありません。興味のある学びができる授業を履修していたので、ものづくりをしたりブランディング、内装設計している時はとても楽しかったです。

学部を振り返って
新しい知識をどんどん身につけることのできる環境でした。自分の力不足で泣くほど悔しかったこともあったけど、それ以上にみんなと課題をやっていた時間が楽しかったです。

学部で身につけた力
「意味のあるデザイン」についてです。色や形など、全てに意味が込められていることに気づきました。細かいところまでデザインすることの大事さを学びました。