カテゴリー
ビジネス

寿命5秒の存在

スキップされない動画広告の研究
17Z1-133 佐々木 玲
私はYouTubeを長い間利用しており、気づいた事があります。動画広告の移り変わりです。YouTubeの動画広告はテレビCMと違いスキップできてしまうので、利用者に見られないことも多々あります。これから先の動画広告はどうしていけばいいのか。そんな疑問をもったのでスキップされない動画広告とは何かを追求しました。
コミュニケーション心理映像
プレゼン動画を見る!

YouTube広告の種類と現状

 YouTubeの動画広告は大きく分けて3種類存在します。動画時間は長いがスキ ップする事ができる「インストリーム広告」、スキップする事はできないが極めて 時間の短い「バンパー広告」、通常の動画と同じように視聴者側が気になったら再 生ボタンを押す「ディスカバリー広告」の3つが主なものです。また、以前はノン スキッパブル広告という動画時間も長くスキップすることもできないタイプの広告 も存在しましたが、評判が悪かったので廃止されました。頻繁に遭遇する広告はイ ンストリーム広告かバンパー広告でしょう。しかし、スキップ機能のついているイ ンストリーム広告はスキップされやすいのが現状です。視聴してもらえるのはスキップできない最初の5秒間だけでしょう。バンパー広告も動画の時間が5秒間なので、広告はその5秒間が命と言えます。
 広告は見てもらわないと意味がありません。すると制作側は何としてでも視聴者 にインパクトを与えたいがため、少しでも目立とうとします。それがエスカレート していき現在YouTubeにあるような過度な表現をした質の低い広告が誕生してしまうのです。そしてこの傾向は日々強くなっていっています。例を挙げるのなら ば、効果を誇大表現した健康用品、商品の効果とは全く関係のない画像を使用して いるダイエット用品、視聴者を煽り立てるような表現をしたゲーム広告、などが挙 げられます。私自身何度かそのような広告に遭遇した事があり、視聴者を焚きつけ炎上を狙っているかのような表現は、明らかに多くの人が強制的に見せられる映像 として、相応しくない表現がされていると感じました。それでも尚このような手段を取る理由はそれほどまでに情報の拡散をしたいという証拠の現れだと思われま す。視聴者が不快に感じても印象にさえ残れば儲けものだと考えているのでしょうか。この方法による動画広告には見過ごすことのできないデメリットが存在することを見ていきましょう。

動画時間は長いが時間経過でスキップ機能が出てくるインストリーム広告

スキップ機能はないが動画時間が短いバンパー広告

普通の動画と同様に利用者が気になった場合に視聴するディスカバリー広告

流行りの広告

 一言で流行りと言っても「良い流行り」と「悪い流行り」があると考えていま す。まずは悪い流行りの方から考えていきましょう。
 悪い流行りとは先ほど解説した、過度な表現をした質の低い広告のことです。炎 上商法にも近いこのような方法は視聴者に対して有効的だと言えるのでしょうか。 倫理観や道徳心という言葉は抜きに、理論的に考えていきましょう。まずはメリットとして特にひねりもなく宣伝するよりも明らかに視聴者の目に止まります。広告は無数に存在し、視聴者側は1日の中で数え切れないほどの広告を見るので、インパクトはかなり重要なファクターとなり得ます。ではデメリットはどうでしょうか。あなたにとって印象の良くない企業があったとして、その企業が出している商 品を購入しようと思うでしょうか。質の低い広告を見て印象に残ったとしても、そ の印象というものは、いわば危険信号に近いと言えます。つまり企業やブランドのイメージを下げてしまうのです。一度下がったイメージを取り戻すことは非常に難しいです。これではせっかく宣伝したとしても、メリットよりデメリットの方が大きいように感じられます。
 良い流行り、いわゆる一般的に評判の良い広告はどのような傾向にあるのでしょ うか。私がそれらを実際に見て、評判の良い広告と悪い広告で何が違うのかを分析した結果、評判の良い動画広告は「物語調にして内容に進展を見せる広告」「ユー モアのある広告」「短くてインパクトのある広告」だと分かりました。動画広告が嫌われてしまう要 因として、「興味のない映像を見せられる」「同じ映像を何度も見せられる」「不快に感じる」などの問題があるのではないかと推測しました。現に、評価の高い広告はこれらの問題をクリアしています。視聴者を不快にさせずに興味を引くことのできている広告が、視聴者に対して一番アプローチできていると言えます。

絶対にスキップされない動画広告

 結論を言ってしまえば、動画広告はいくら物語調にしても、ユーモアを入れたとしてもスキップボタンがある限りスキップされてしまう可能性は存在します。そこで私は絶対にスキップされない動画広告を提案します。それは簡単に言ってしまえばバンパー広告の一種です。つまりスキップボタンを出しません。バンパ ー広告は5秒間ですが、1秒間の広告なんてどうでしょうか。1秒だけの広告は短過ぎると感じる人も多いかもしれませんが、 そんなことはありません。ほんの一瞬見せられただけの、もはや画像とも取れるそ の一瞬は情報量が少なく、理解されやすいです。多くの人に印象に残ることでしょう。情報量は少なければ少ないほどに覚えてもらいやすいのは当然です。視聴者に もその1秒だけは広告に集中してもらえます。動画広告が始まり、それを広告だと判断できるまでに要するその1秒は視聴者は集中していることでしょう。さらに、 1秒間と言う短い時間ですので嫌だと感じる人もかなり少ないはずです。1秒間で 見せる映像はタイトルと商品名、そして必要ならばそれに応じた画像など、つまるところポスターに近い存在かもしれません。ここで重要なのは、どの情報が重要か を明確にさせること、情報の優先順位をハッキリさせることです。商品名やキャッチコピーなどは重要な情報になりうるので、視聴者から1番目に止まるレイアウトにするのが良いでしょう。さらに私だったら1秒広告を物語調にします。1秒で物語を見せることは困難ですので、一定期間毎に広告の内容に移り変わりを見せ、視聴者に『ちょっとだけ気になる存在』 になってもらいます。色覚的、聴覚的要素も大切になってきます。所詮は1秒なので、伝えられる情報量には限界がありま す。分かりづらい表現をしてしまうと視聴者にとって訳のわからない時間になってしまうだけなので、必要な情報を最低限載せるだけに留めておきます。これが私の考えた主張が強すぎず、インパクトのある動画広告です。

佐々木 玲

好きな授業
「クラフト」系の授業です。深く考えることの苦手な自分にとっては心地良い時間でした。作業中にイレギュラーが発生しても、そこからどう元に戻すか工夫する事にやりがいを感じました。

学部を振り返って
生きていく上での視野を広げたく思い、2年からデザイン学部に編入しました。今までと一変した学習環境や内容の違いに、とても良い刺激を受け、充実した学校生活を送ることができました。

学部で身につけた力
この学部にいて一番影響を受けたことは、本当の意味での「デザイン」だと感じました。モノやコトの真髄を捉え、それらに沿った工夫を施す重要性と力を学びました。