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一人暮らしの料理初心者への提案サポート

17Z1-129 横山 立樹
コロナ禍で料理を始めた筆者が、他の料理初心者のサポートを目指し料理本の構想を発案する研究である。既存の料理本はどれも情報量が多く、読む前から初心者のやる気を削いでしまうのではないかと考えた。できるだけ情報量も少なく、料理初心者が一度は料理の経験を得られる、そんな料理本を目指した。
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「情報量の少ない料理本」を作りたい

 いざ料理本の構想を考えようと思った時、自分はどんな料理本を作りたいかを悩んだ。自らの手で作り出す以上、自分が持つ料理本の悪いイメージを変えていきたいと思ったのだ。いずれ中身の知識なども調べなければいけないため、まず私は既存の料理本に目を通した。そこで私が思ったのが、「料理本は内容が多くて読み終えるのが大変だ」ということである。
 主に出版されている料理本の特徴として、内容が多いという点があげられる。これは至極当然の話で、料理に関わる知識は一冊の本に詰めるにはあまりに多い。調理器具、食材の旬、調味料、調理法、レシピなどあまりの多さにキリがない。これらを一回の出版でより多くの読者に届けようとすれば、一冊の情報量がパンク寸前になるのも当然である。もし料理初心者がそのような料理本を手に取れば、「これを読み切らなければ料理ができないのか...」と思うであろう。ならば、自分が作り上げる料理本は、料理の全てをわからずとも一度は必ず料理の経験を得られるような、そんなものに仕上げたいのだ。
 自分が作りたい料理本は「情報量の少ない料理本」である。調理器具や調理環境についての最小限の情報量で初心者のスキルアップを図り、最終的に料理本に掲載されるレシピを使って料理を作れるようになるのだ。
 そのためにはまず、基礎知識とレシピの調査を行い情報の精査をした後、試作の料理本を制作する。試作を用い料理初心者の協力を得て検証を行う。そこで上がった問題点を元に改良版を作り上げ、それを研究成果として終えようと思う。

料理の作り置き、保存方法を掲載しようと思う。情報は最小限にしなければいけないが、料理初心者のために必要な情報だと思う。

レシピも1ページに収めてコンパクトにしたものを用意したい。一目で料理の工程すべてに目を通せるなどの利点がある。

問題点から導き出した改良点

 まず試作版を作成したが、検証をするといくつかの問題点が出てきた。具体的な問題だと「肉に熱が通ったかどうかを判別できない」などが上がる。このような声が出てから自分のレシピには視覚情報が足りないのだと気づいた。改良版では初心者にもわかりやすく調理工程一つ一つに写真を加えた。

「玉ねぎのくし切りがわからない」という問題も上がった。普段料理に関わらない者が食材の切り方といった専門用語を理解できないのは至極当然である。丁寧な解説をどこかで挟まなければ行けないだろう。文章や写真の他、シンプルな形をした玉ねぎだからこそ図解なども入れるとよりわかりやすいのではと思う。

玉ねぎのくし切り(図解)

初心者に必要な情報は「具体的な視覚情報」

 私は情報量を極端に落とした料理本を目指した。その過程である試作検証の結果、料理本には料理レシピとそれを支える基礎知識の紹介があれば、読者は料理完成にまで至れることがわかった。加えて、それら紹介には具体的な視覚情報が必要であるともわかった。いわゆる写真や図解といったものである。料理の工程をただ文章で綴られるだけでは、今自分がどの工程に立っているかがわからないという問題が上がった。
 だから、1工程ずつに調理工程の写真を添えることで、一歩一歩着々と読者を完成に誘導することができる。必要なのは具体的な視覚情報である。初心者も目の前の工程と見比べることで、安心して次のステップを踏めるようになる。
 無論、基礎知識についてもそうである。初めて聞く用語、道具も多い。それらを導くためにも、言葉だけではない視覚的アプローチが必要であった。
 料理に限らず、初心者に対して具体的な視覚的情報は信頼できる情報となることがわかった。

具体的な視覚情報の一例としてこのような写真が取り上げられる。「肉に火が通っているか通っていないかがわからない」という問題を解決するものだ。文章だけでは伝わりづらい火の通りも、変化前、変化後の写真を用意することでよりわかりやすいものとなった。

横山 立樹

好きな授業
”デザイン製図実習”です。ただ淡々と言われたことをやり続け、細かく線を引く実践形式が病みつきでした。意外と人気の少ない授業なのか、以前後輩にその授業について聞いたら「嫌いでしたね」と言われました…私は好きです。

学部を振り返って
四年を通して印象深いのは”企画表現演習”です。商品企画やプレゼン発表、企業と連携した地域づくりの企画発表などの実践経験はすごいためになりました。学生のうちから社会人とこんなに接する機会は他では得られないと思います。

学部で身につけた力
実践経験から得たものが多いです。イラストレーターやパワーポイントなどの基礎知識は学校を出たその後も活かせそうです。個人的に一番ためになった経験は、企画5の全体プレゼン発表です。実践経験万歳。