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江戸を取り入れたエコな飲食店の設計

17Z1-123 柳下 龍介
環境問題はメディアにも取り上げられている大きな問題である。さらに、海外に比べ日本のエコに対する取り組みはかなり遅れているという問題もある。そこで私は、この問題を改善するために、「エコな時代」と言われていた江戸のイメージを取り入れながら、環境への配慮、エコへの意識づけをさせることのできる飲食店の内装設計を提案しようと考えた。
空間設計環境(問題)社会
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調査・分析

 現代では世界的に環境への関心が高まっている。特に現在の⽇本ではレジ袋の有料化などの取り組みにより、私たちの環境問題への意識が⾼くなった一方で、技術の発展やライフスタイルの変化によって、かえって多くのエネルギーや資源が消費されているという現状が見られる。その問題を、飲⾷店やカフェの設計を⾏うことで解決させる。
 右のグラフのように、日本人のエコへの関心は高いが、「エコ=節約」といったイメージを持っている人が多く、肝心の「環境への意識」は低い傾向にあり、本来の目的である「環境に配慮する」、「自然を守る」といった意識が薄いことが分かった。
 そこで、飲⾷店やカフェの設計を⾏うことでこの問題を解決しようと考えた。飲食店を選んだ理由は、需要がとても⾼いからである。特にファミリーレストランやカフェなどのチェーン店は⼈が多く集まる。その⼈が集まるという点を利⽤し、環境問題を変えられる何かを⽣み出したいと思った。
 そして、店舗の内装イメージのキーワードとして「江戸」を取り上げることにした。⽇本⼈の歴史の中でも江⼾時代は「巨⼤なエコ都市」と⾔われることがある。江戸時代は、現在のように「ゴミ問題」を解決するためにリサイクルをしていたわけではない。もともとモノが少なく、全てが貴重な資源だったのだ。新しいモノは高価で簡単には手に入らなかったので、ほとんどすべてのものがゴミにならずに、使われ続けていた。そのため江戸時代は循環型社会となり、自然を有効活用していた時代だと分かった。そこでエコな江⼾、古き良き江⼾を今回の企画にかけ合わせることで「江⼾を取り⼊れたエコな飲⾷店の設計の提案」を⾏っていく。

「エコへの関心」についてのアンケート結果

「飲食店・カフェをよく利用するか」のアンケート結果

企画概要

 この企画では、森林伐採に対する配慮として、建材や什器などは全て廃材を使用している。
 店内のイメージとしては主に「江戸時代」と「自然」を掛け合わせた内装であり、4つのエリアごとに表現が異なる。
 1つ目の「屋外エリア」については、パーゴラを設けてその下に茶屋のような雰囲気を作り出し、4月ごろには藤の花を楽しみながら食事ができるようにしている。パーゴラの一部にソーラーパネルを設置し、電力の消費を抑える取り組みを行う。ソーラーパネルは騒音や排気ガスを排出することなく電力を作り出し、C O 2の削減にもつながる。
 2つ目の「座敷エリア」については、江戸時代と同じようにあぐらをかいたり、足を伸ばしたりとゆったりと楽しむことができる畳のスペースとなっている。畳の上は自由度が高いため、詰めて座ることで大人数の来客も可能となっている。
 3つ目の「カウンター席」は、一人でも気兼ねなく利用でき、相席のように他の人と対面にならないため、人を気にせずに料理を楽しむことができる。
 4つ目の「わびさびの空間」は、部屋の奥に水路を設置することで水の流れる音と植物との調和を楽しめるようになっている。水の流れる音には、心をリラックスさせる効果を持つ波形が含まれている。そこで、水路によってこの波形を作り出し、ゆったりとした時間を過ごすことができるようにしている。

パーゴラの一部にソーラパネルを設置

座敷スペースのイメージ画像

カウンター席のイメージ画像

「わびさび」の空間のイメージ画像

期待される効果

 本研究の「江戸を取り入れたエコな飲食店の設計」によって期待される効果として、下記の3点が挙げられる。
 1つ目、森林伐採の軽減について。廃材など利用されなくなった素材をリメイクすることで、伐採することなく建物や家具を作り出すことができる。こうした再利用が、森林伐採の軽減につながり環境保全にも寄与することが期待できる。
 2つ目、エネルギー消費の軽減について。無駄なエネルギーを使わず、植物によって解決を図る。植物の蒸散する水分は、夏には熱を奪い気温上昇を抑え、冬には熱を放出して気温の低下を防ぐ効果がある。これによって冷房や暖房によるエネルギーの使用量を減少させることが期待できる。
 3つ目、自然への意識の高まり。この企画では「わびさび」の美意識として植物を多く取り入れ、自然との関わりを身近なものにしている。そして、来店した人にその自然の美しさを感じさせ、興味を持たせることで自然への意識を高められるのではないかと考えられる。

柳下 龍介

好きな授業
私が好きな授業は、「インテリアデザイン」です。
私は空間デザインに興味を持っていたため、ショーウィンドウディスプレイや店舗の設計をすることに対してとても楽しく取り組むことができました。

学部を振り返って
明星大学デザイン学部での授業はとても大変なものでした。しかし、そこで多くの人と出会いお互い助け会いながら取り組んだことでより良い大学生活を過ごすことができました。

学部で身につけた力
明星大学デザイン学部ではデザインの専門知識や技術だけを学ぶのではなく、企画力やプレゼンテーション能力など社会で活躍するための力を身につけることができました。