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犬が人と共に過ごしやすく

動物の命をもっと大切にできる環境づくり、きっかけを 
17Z1-117 三井 彩華
ペットサービスが充実し、ペット達は大切に飼われることが多くなったが、華やかな世界の裏には隠された悲惨な現実があった。そこで多くの人が現実を知り、向き合い、動物を大切にできる環境や人と共に幸せに過ごすためのきっかけ作りたいと思い研究を行った。この仕組みがきっかけで、幸せな一生を送ることができる動物が増えることを願う。
家族心理社会
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日本の悲惨な現状

 日本ではペットビジネスが成り立ってしまっていることが何よりも問題である。日本人はペットが欲しいと思ったときに真っ先に思い浮かべるのはペットショップだ。ペットショップは、新しい出会いを作る素敵な空間でもあるが、裏を返せば手軽に立ち寄れ、衝動買いに繋り、いずれ飼育放棄に繋がってしまうケースが多い。そして売っている全ての犬猫が売れなくても、一定の売り上げがあれば売れ残りが出ても利益が出てしまう。また、売られている子犬達の中にはパピーミルで繁殖された子もいる。[※1]
 ペットショップは比較的綺麗なところで基本的なお世話がされているため、繁殖施設も似たようなところなのかと思いがちだが対照的なところが多い。掃除は全くされず、日も当たらない場所で狭いケージに入れられ過ごすため、筋肉はなくなり骨格が曲がり、一生立つことができなくなってしまう。必要最低限の水と餌だけを与えられるだけで、ケアをしてもらえるわけでもなく、病院に行って治療してもらえるわけでもない。若い頃からお産を繰り返してきた親達は寿命も短く歯はボロボロになり、ほぼ例外なく乳腺腫瘍になっている。そして産めなくなってしまえば用済みとして捨てられる。 
 「犬猫殺処分ゼロ」を達成したと発表した東京都の場合、実は、新たな飼い主に譲渡するのは不適切であると分類した犬猫146匹を殺処分している。収容中にケガや病気で死んだ犬猫も211匹いた。日本の場合セカンドチャンスが少ないため収容されて3~5日経過すると、二酸化炭素ガスで処分するのが一般的である。1頭の犬が息絶えるのにかかる時間はだいたい20~30分と言われている。この長い時間苦痛に耐え続けなければならない。二酸化炭素による殺処分は苦痛を与えず行える適切な殺処分だと思われているが、実は這いつくばるほど苦しい。日本の殺処分がいかに残酷かわかるだろう。

ペットショップの裏側
売れ残ったら、虐待を行う業者である引取り屋で闇処分されることもある。

殺処分
人間の身勝手な理由により、毎日多くの動物が遺棄され、殺されている。

※1 パピーミル
パピーミルとは、工場で商品を生産するように子犬を大量にうませている繁殖業者のこと。

問題点とやるべきこと

・生体販売を行っていない店もペットショップと認知してもらうために、ペットショップ=動物を買うところというイメージに変化を与える。
・生体販売を行わなくても経営出来るようにし、生体販売を減らすために、動物を売らない代わりに新しい取り組みで経営を成り立たせる必要がある。
・命に責任感を持つ環境を作るために、一時的な感情で購入後捨ててしまうという無責任な行動を減らし、命の重さを認知できるようなシステムを構築する。
・パピーミルからの動物は扱わないように良質なペットショップを増やし、優良ペットショップが誰でもわかるようにする。動物を飼う時にペットショップ選びからスタートする人を増やすためのきっかけを作る。
・衝動買いしてしまうケースを防ぐために、成長した姿を理解し最期まで愛を与え続けられるかを考えられる場、客観的みて判断をしてくれ、飼った後の生活を認知できる場を提供する。
・マナーやしつけの大切さを理解してもらうために、全ての人と動物が共に過ごしやすい環境作りのための基礎を構築する。動物が好きな人も嫌いな人とも共に過ごしやすくするためや、ペット社会でもマナーやしつけは大切なことを知ってもらう。
・殺処分問題をもっと身近なものに感じてもらうために、問題全てにおいて、まずは裏の悲しい現状を多くの人に知ってもらい殺処分をもっと身近な問題に感じてもらうことが必要である。そのことにより命の重さを感じられたり、遺棄動物たちのセカンドチャンスが増えたりすることに繋がる。
・動物たちを救いたいという気持ちがあっても、行動に移すことは難しかったり何からはじめたらいいのかわからないという人のために、普段の生活の中で無理せずに始められることを提案していく。

提案

①「ペットショップブック」
優良ショップだけをまとめたガイドブックを作成する。良し悪しがあることを知ってもらい、多くの人に優良なショップで飼うという選択肢を選んでもらうこと、働く人の意識を高めること、悪徳ブリーダーを減らすことを目的とする。
②「ペット相談所」
お客様一人一人に合わせた提案をする。自己の判断で飼ったことによる“思ってたのは違うからやっぱり飼えない”という状態を防ぐことを目的とする。客観的に判断、求めているイメージとマッチする子を提案してもらうことでズレをなくせる。
③「ペット登録カード」
ペットの情報を登録するカードであり、発行の際に登録費用がかかる。年会費を払うことで支払いとポイントの機能を使用することができる。機能は以下の4つ。
1. 情報登録→飼い主とペットの情報だけでなく、飼っている環境や健康状態などの情報も登録される。安易に“捨てる”という行為を減らすことが目的である。
2. サービス・割引→ペットを大切にしているという証明書となる。提示することにより、サービスや特典を使用できる。登録者数を増やすことが目的である。
3. 支払い→このカードで支払いをすると保護団体に代金の一部が寄付される。寄付金を集めることだけではなく、自から救うための行動をとることに繋がる。
4. ポイント→携帯と連携し動画を見ることでポイントを貯められ使用できる。動画は、マナーや殺処分等の現状を多くの人に知ってもらうことが目的である。
④「保護動物譲渡の場」
里親という選択肢を選んでもらうために店内に大きなスクリーンを設け里親募集の動物を映す。また、現在のペットショップの子犬をガラスケージに入れて売るという現状を変えることのできる取り組みでもある。

ペット登録カード例

ペット情報登録カード 4つの機能

保護動物譲渡の場 店内スクリーン

三井 彩華

好きな授業
企画表現演習
学部の授業課題はどれもハードだけど、その中でも特に大変で必死になって取り組みました。でも、この授業はみんなと一緒に協力して行うことが多いため支え合い、楽しく最後までやり切れました!

学部を振り返って
忙しくて思っていた大学生活と違っていたけど、この学部、学年で良かったと感じます。仲良くて、頼れて楽しいメンバーの集まりです!みんながみんなを好きで、授業のない日もなぜかみんな学校にいる!みたいな(笑)ここで過ごした4年間は素敵な時間でした!

学部で身につけた力
どんな分野にも挑戦し、課題は全力で行ったため、幅広い分野のスキルと、自分の出来るよりちょっと上を目標にして取り組む力がつきました!