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歴史から見える経済的効果をもたらす食玩の提案

17Z1-094 寺川 黎
小さな芸術品「食玩」にハマり、食玩の魅力を深く知りたいという思いからこの研究を始めました。小さく、精巧な作りの食玩。そんな食玩の歴史、販路などを調査し、コロナ禍で巣ごもり消費が高まる中、それでも利用が途絶えることないコンビニの環境に着目し、食玩の新たな形、新たな展開方法の提案をしました。
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日本におけるコンビニ店舗数の推移

 食玩とは、菓子や飲料水などの食品に玩具のおまけのついた、コンビニエンスストアの棚などで売るための方便として形だけのお菓子をつけた商品のことを指します。食玩は主に玩具商品がメインなのに対し、お菓子をつけて「おまけ菓子」とするのには、玩具屋や模型店、ホビーショップだけではなく、コンビニやスーパーマーケットまで販路を広げるという狙いが存在しているからです。
 例としてコンビニエンスストアの店舗数は取得可能な最古の値で1983 年の 6308 店舗。 そこから少しずつ増加していき、取得できる最新の値の 2019 年では 57966 店舗と右肩上がりでその数を増やしました[※1]。
 コンビニエンスストアは、私たちの身近にいくつもあり、気軽に足を運ぶことができ、日本だけではなく、アジアやヨーロッパなど、世界各国にあります。このことからも、日本の技術で作られた食玩は、世界へ進出しやすい環境にあるといえます。

※1 日本におけるコンビニエンスストア店舗数の推移
日本フランチャイズチェーン協会、「JFA」が調査した、日本全国のコンビニエンスストアの店舗数をまとめたもの。

引用元
『マイボイスコムのアンケートデータベース(MyEL)』
https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_id=20715

食玩の販売・展開構想

 食玩は大抵ブラインド商法をとっており、箱の中身はわからないようになっています。何が入っているのかわからないというのは通常、買い物をする上でマイナスな要素でしかなく、購買意欲というものは湧き上がっては来ません。しかし、玩具とは本来遊ぶためのものであり、遊びには面白さが不可欠です。つまり、何が出てくるかわからないという要素は遊びにおいてはギャンブルに似た面白さを与えることができると考えました。このブラインド方式の販売で人の射幸心(人間の心理として幸運を得たいと願う感情のこと。心理的な欲求を抱く状況、また幸運によって他人よりも幸せに恵まれたいという心理状態を含む)をくすぐり、「ちょっと買ってみよう」「ちょっと揃えてみよう」という気持ちにさせます。
 この人間の心理を利用し、食玩を対象にした集客ができるのではないかと考えました。これは、フルタ製菓のチョコエッグ発売当時、版権があるキャラクターものの食玩よりも、版権がない完全なオリジナルであるノンキャラクターものの方が、販売主の予想を裏切って多く売れたことからもわかります。
 食玩はフルタ製菓のチョコエッグを手掛けた海洋堂をはじめ、年々ラインナップに加えられるフィギュアの造形のクオリティは上がっています。たとえ、版権が存在するキャラクターものでなくとも、圧倒的なクオリティの造形であれば、人々の興味を惹く要因になると考えました。

世界の民族玩具シリーズ

 食玩は小さく、精巧な出来の品が多くあります。言うなればミニチュアです。ミニチュアの世界観は、人々に驚きと感動を与える力があります。
 これを生かして、文化の品々を食玩という形で残し、コンビニを利用して、国の文化を身近に触れる機会を展開する、というものです。
 それが、世界中に存在する、民族性のある古くからの玩具、「世界の民族玩具」をテーマとした食玩です。
 世界の民族玩具とは、世界にある民族性の色が濃い、玩具と言える物のことを言います。例えば、日本で言うところの「独楽」や「けん玉」などです。
 その中には、その多くが木や土、紙や骨などの自然素材で作られた伝承玩具があります。国が違っても同じ仕組みの玩具があったり、同じ動物玩具であっても造形、色彩感覚の違いが表れていたり、玩具がもつ普遍性とともに、お国柄、土地柄を反映して作られた玩具・人形からは、各地の文化や生活の様子を知ることができます。
 そんな伝統玩具をミニチュアで再現し、求めやすい手段、触れやすくする仕組みを考えることで、文化を身近に感じる機会を日常に創ることができるのではないかという思いから企画しました。
 メインとして扱うのは、様々な国の伝統玩具の台座付きミニチュア。飾って楽しむ観賞用を想定しています。
 食玩には小さな解説書をつけることで、その文化について簡単に触れていいただくことができます。これは箱の中に小さな解説書を同封、あるいは玩具とお菓子を梱包する箱の裏側に印刷します。
 以上のような国の文化を身近に感じ、触れることができ、そして知るきっかけになる食玩を広め、新たな食玩の姿の発掘をこの提案でしたいと考えています。

寺川 黎

好きな授業
もともとDIYに興味があったので、「クラフトデザインA・B」「材料加工A・B」といった、何かを組み立てたり、工具を使ったりする授業が好きでした。

学部を振り返って
四年間通して履修することになる企画表現演習で、企画するとは何か。デザインとは何かを学びました。企画する際のスケジュール管理、表現・実現の難しさなど、大変な思いで行ってきましたが、とても充実した大学生活を送れたと思います。

学部で身につけた力
企画表現演習を経験してチームメイトとのコミュニケーション力や、工具や専用の機材についての純粋な知識などが身についたのではないかと思っています。