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ラジオをブランディングするために必要なこととは?

17Z1-091 塚本 遼平
初めてラジオを聴くときに、ホームページがなかったら、メールの送り方もどんな番組かもわからない。しかし、地方のラジオ番組ではホームページがない番組も多い。本研究では、ラジオのブランディングを行い、初めてラジオを聴く人にも優しい、ラジオ番組の伝え方を提案する。果たして、ラジオをブランディングするために必要なこととは?
ブランディング
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バーラジオViViDとは?

FM-FUJIという山梨のラジオ局では、月曜から金曜の21:00~23:00の時間帯に生ワイド番組※1(収録のときもある)が放送されている。月曜から順に「ロヂウラベース」「俺たちの穴!」「四千ミルク」「10歳祭ラジオ」「沈黙の金曜日」という番組である。いずれの番組も、山梨のラジオ局でありながら、東京代々木にある「STUDIO ViViD」というサテライトスタジオから生放送されている。さらに、ツイキャスというアプリで、スタジオ内の様子を見ることも可能。そんな共通点の多いように見えるこれらの番組であるが、意外にも5つの番組をまとめた名称が存在せず、個々の番組が孤立している。さらに、それぞれの番組にホームページがなく、初めてラジオを聴く人がメールの送り方やどんな番組かを調べたりすることができない。このような問題を解決するべく、5つの番組を束ねて、そして、ブランディングを行い、1つのブランドを作成した。そのブランドが、バーラジオViViDである。

※1 生ワイド番組
90分以上のテレビ番組・ラジオ番組の総称。「生」は「生放送」の生。

バーラジオViViDの構成要素

ブランドコンセプト※2は、「仕事終わりに気軽に入れるバー」とする。5つの番組は、「山梨で放送されている知る人ぞ知る人気番組」「初めての人は少し参加しにくい」というイメージだった。また、21:00~23:00 の番組なので仕事帰りまたは、仕事が終わってから家に着くぐらいの時間帯に放送されている。次にバーを考えてみる。私はバーに「地下でひっそりとやっている」「ちょっと入りにくい雰囲気」そんなイメージを持っていた。5番組とバーのイメージが非常に似ていることから、ブランドコンセプトを「仕事終わりに気軽に入れるバー」とすることにした。

ブランドアイデンティティ※3を「平日の夜にラジオという癒しを」とする。
仕事の疲れを癒す場所、日頃の愚痴を聴いてもらう場所、そんな場所が減ってきている。そんな場所と共に好きなパーソナリティやゲストの人と触れ合う機会を提供したい。密かにやっているのに、誰もが入りやすく、初見や初心者も楽しめるようなバー(ラジオ)にしていきたい。

ブランド名・ロゴ
いずれの番組も「STUDIO ViViD」という代々木のサテライトスタジオで生放送を行なっていることから、5番組をまとめた名前を「ViViD」とする。シンボルマークは、STUDIO ViViDのブースを上から見た形と、その中にある机を表現した。色もカーペットと机に似た色をそのまま使用した。文字は、ラジオ感があるものを使用した。代々木の小さなスタジオから、これだけの人気番組を作り上げて放送することは、素晴らしいことである。STUDIO ViViDに誇りと自信を持ってもらいたい。そんな意味を込めた。また、レンガで少し怪しい感じを出し、古びた地下のバーの扉の周りのような感じをイメージした。

※2 ブランドコンセプト
ブランドが実現する価値を具体的に言葉にしたもの

※3 ブランドアイデンティティ
ブランドコンセプトをさらに詳しくしたもので、ブランド名だけで消費者が共通のイメージを持てることが理想である。顧客・消費者との約束と言っても過言ではない。

ロゴマーク

バーラジオViViDの発信方法とブランディングの効果

発信方法は主にこの3つを考えている。①ホームページ、②Twitter、Instagram等のSNS、③radiko(ラジコ)オーディオアドだ。今までなかったホームページを作ることによって、メールの送り方がわからないといった問題点を解決する。また、ホームページ内に番組ブログを載せることで、番組の詳しい詳細もわかるようにする。radiko(ラジコ)オーディオアドが必要な理由は以下に示す。

radiko(ラジコ)オーディオアド
オーディオアドとは、Spotify、radiko(ラジコ)、ポッドキャストといった音楽のストリーミング配信や、インターネットラジオ音声メディアへの”デジタル音声広告”のことを指している。radiko(ラジコ)オーディオアドでは、ラジコが持つ全国各地の放送局から差し替え可能な広告枠を取得し、それぞれが持つ良質なコンテンツの間に広告を挿入することができる。また、ラジオメディアの広告はスキップされにくいという特徴がある(完全聴取率98%/実績平均)。radiko(ラジコ)オーディオアドは、ラジオ番組放送中に違和感なく配信されており、ユーザーに自然な形で広告を配信できる。さらに、ユーザーの属性や趣味嗜好に対してのターゲティングができるようになったため、これまでのラジオ広告では実現できなかったユーザーのシチュエーションやグラフィック情報などに応じた高いターゲティングによる広告配信ができる。例えば、性別や年齢、聴取コンテンツなどでターゲティングができ、サードパーティーデータ※4と掛け合わせることにより、より細かなパーソナライズ※5された広告配信が可能になることで、効率よく届けたいユーザーに届けたい広告を届けることができる。このように、ViViDを聴く人,聴きそうな人を細かいターゲティングで割り出すことができる。そしてその人たちに、ViViDのコンセプト等を盛り込んだCMを聴いてもらうことで、リスナーの番組(ブランド)への理解が深まることは間違いない。

ブランディングがもたらす効果には様々なものがあるが、ラジオをブランディングする上では「他社との差別化を図ることができる」という効果が最も期待できる。
仮にA社とB社があり、性能やコスト,効果などが全く同じ製品を作ったとする。A社は業界最王手で、誰もが知っている会社。更にブランドが確立されている。一方、B社はあまり知られていない会社である。このとき、皆さんならどちらの企業の製品を選ぶだろうか?A社が多いのは、ブランド力があるからである。ブランド力があれば、同じような製品やサービスがあったときに、例え価格が高くても、消費者や顧客から選ばれやすくなる。このように、ブランディングにより、ViViDならではの独自性を築き上げていくことで、他局の生ワイド番組との差別化を図ることができ、リスナーから選ばれやすくなる。

※4 サードパーティーデータ
自社データ以外の、いわゆる第三者が提供するデータ。顧客と直接的な関係はないが関連性のあるデータ。

※5 パーソナライズ
全員に同じサービスやコンテンツを提供するのではなく、一人一人の属性や購買、行動履歴に基づいて最適な情報を提供する手法、しくみのこと。

地上波ラジオでは、全て同じ広告が配信されているが、radikoオーディオアドでは、ユーザーの性別や年齢、聴取コンテンツ、趣味嗜好などに合わせて広告を配信できる。


https://natalie.mu/owarai/news/110097

塚本 遼平

好きな授業
私が好きな授業は、「メディアデザインA」です。デジタルファブリケーションを活用した作品の制作を行いました。作品を学生同士で評価し合い、自分の作品を褒めてもらえたときは、嬉しさと共に自信が持てるようになります。

学部を振り返って
元々、この大学が第一志望ではありませんでした。しかし、このデザイン学部に入学して本当に良かったと思っています。4年間ずっと忙しかったですが、その分、たくさんのことを学ぶことができました。

学部で身につけた力
一番身についたと感じるのは、表現力です。
特にCREC法を知ることができ、実践できたのが大きな経験になっていると思います。入学する前と今とでは、「自分の考えを相手に伝える能力」が格段にUPしていると自負しています。