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コロナ禍で収益が減り存続が難しくなったライブハウスの救済方法の提案

17Z1-081 鈴田 雅大
コロナ禍によって収入が途絶え長期的な経営と存続が難しくなってしまったライブハウス。趣味のライブが見れなくなってしまい辛いという個人的動機から、社会の同じようにライブが見れなくなった人、このままでは失われていってしまうライブハウスとライブ文化という問題を解決したいと思いこの企画を提案します。
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ライブハウスについて

 ライブハウスのコロナ対策の現状を知るために、営業形態の法律上の区分を調べたところ、飲食店の名目で営業しているため、三密対策が取りにくいことが分かりました。なぜ興行場では無く飲食店という名目で経営しているかというと興行場法の興行場の許可を得るには、厚労省が定める興行場法、準則等に従って換気能力や出入り口の数、観客一人当たり面積、設備投資等様々なハードルがあるため飲食店という形でコストを抑え営業しています。飲食店のていを保つため入場客からドリンク代として一人500円づつ取ることでライブハウスの収益にもつながています。
 こうした設備投資節約の飲食店営業のために換気やお客さん同士のスペース確保が不十分で三密になりやすいことは否めません。そのため対策として入場制限をかけることにより三密を避けソーシャルディスタンスを保ち換気をこまめに行っていますがその分収益が減り経営が困難になっており、都内だけでも40店舗のライブハウスがコロナ禍を理由に閉店しています。
 次にライブハウスが一度閉店しその後また復活するというのは可能なのか調べるため新店舗を構える際の大まかな費用を調べました。ライブハウスは大抵繁華街や駅近に作られるため新しく店舗を構えるには物件を借りる際の多額の保証金や音響などの設備投資費用など少なくとも1000万円はかかることがわかりました。
 次に、ライブハウスが生み出す経済利益について調べるためライブ市場の利益を調査しました。近年音楽の聴き方に対する人々の意識が変わったことでCDを含めたオーディオレコードは手軽に音楽を聴ける媒体に取って代わられ、生産数は減りオーディオレコード市場は低迷しています。これに対しライブコンサート市場の収益は年々増加し10年前の倍の売り上げを上げており近年レコード会社やミュージシャンは売れなくなってきたオーディオレコードに対し代わりにライブに対して力を入れており年々公園本数も増やしていることがわかりました。

※1 ライブハウス
ライブハウスとは、小〜中規模のコンサートホールのことで収容人数は100〜3000人程度の音楽ライブやイベントを行うための場所です。小さなライブハウスは大抵繁華街や駅から近いアクセスの良い場所の地下などに店舗を構えています。専門学校などを卒業した機材、照明、設営、バー、音響、ブッキングスタッフが働いています。ミュージシャンにとっては仕事場であり有名になるための登竜門的存在であります。

※2 CD市場とライブ市場の比較 
ぴあ総研ライブ・エンタテインメント市場規模の調査結果、一般社団法人日本レコード協会年次統計より引用

分析

 調査の結果からライブハウスは入場制限をかけることにより三密を避けソーシャルディスタンスを保ち換気をこまめに行っていますがその分ライブを観れるお客さんは半分に減り、収益が半分減り経営が困難になっており、また閉店した後に復活するというのも多額の食費用がかかるため難しく現状のままの対策だとライブハウスがどんどん消えていきライブ文化がなくなる一方だということがわかりました。また、三密対策としてやっているオンラインライブはライブの生の音を聞くことができるものの演奏するミュージシャンとの掛け合いや身振り手振りによるコミュニケーションができないなどデメリットがあり生のライブに勝てる魅力が少ないことがわかりました。収容人数が減ったライブだと観客もミュージシャンも寂しく感じ、生のライブ自体の魅力が減るのではないかと思いました。このままだと人々のライブ離れが懸念されます。
 ライブハウスは音響、ライブハウスの現場に関する新しい人材が育つ場所であるためスタッフが育たなくなるのとアーティストの発表の場であり仕事の場であり有名になるための登竜門的存在でもあるライブハウスがなくなることによって新しいアーティストが出てこなくなる可能性があります。
 調査の結果から、ライブ市場はCDレコード市場の収益を追い抜かし2000億円の収益をあげていた2019年から2020年には595億円まで落ち込んでしまうことが予想されていることがわかりました。このことにより音楽市場全体の収益が減るだけでなくオーディオレコード収益に代わりライブ収益に力を入れていたレコード会社やミュージシャンの収益が大幅に減ることになります。

分析から見える問題点

企画提案

 三密を避けたままお客さんがライブを観れるようにしコロナ禍とコロナ禍収束後にライブハウスの収益アップにつながる策として通常のライブに加えてオンラインライブのチケットを販売します。そうすることで現在入場規制で通常の半分しか動員数が得られずチケットの収益が半分であったとしてもオンラインチケットの収益分で補填できますしコロナ収束後も通常のチケット収益に上乗せした利益が見込めます。また、無観客であってもスタッフやミュージシャンの活動の場が提供できます。オンラインライブをより観てもらうためにステージ上に各メンバーに対応したカメラを複数台設置し好きなアングルからバンドやアイドルのファンがそれぞれ自分の好きな人を自由に見られるようにします。そうすることでオンラインライブにしか無いメリットをつけ販売チケット増加をを狙います。
 生のライブの魅力をさらに高め、オンラインで観ているお客さんともコミュニケーションが取れる策として飛沫感染防止用のビニールシートやアクリル板を逆手に取りプロジェクターでアーティストのミュージックビデオやビデオジョッキー映像、歌詞付きミュージックプロジェクションマッピングを投影し演出を加えます。歌詞付きミュージックビデオを流した場合にはお客さんが歌詞を見ながら一緒に歌える、初めてそのアーティストのライブに来たお客さんでもすぐに一緒になって歌える、ボーカルの歌詞が何を言っているのか理解ができる等のメリットがある上、無観客オンラインライブの場合にはプロジェクターでお客さんの姿を映し双方向のコミュニケーションが取れるようにします。
 今回の企画提案により三密を避けながらライブを多くの人が観れるようにし、更にはライブ、オンラインライブ両方に付加価値を持たせることによってライブハウスの収益をあげライブハウスから、スタッフ、ミュージシャン、レコード会社、ライブ市場を救います。

オンラインライブによる収益

鈴田 雅大

好きな授業
グループ活動などの無い座学や黙々と作業に打ち込める授業が好きでした。デザインの知識の全く無い自分にとっては美術の歴史やデザインの歴史について学べる授業が刺激的で面白かったです。

学部を振り返って
もともとデザインやアートに興味があったけれど色んなことを幅広く学びたいと思いこの学部に入学しました。ファッション、インテリア、メディアなど自分の興味のある科目を自由に選んで学べ、課題が大変ながらも楽しく授業ができました。

学部で身につけた力
Adobeとofficeの基礎的な技術が一通り身についた他幅広くデザインの知識を学べました。また、人前でプレゼンをする機会が多く入学前と比べると人前で話す、意見を言う、相手から意見を引き出す能力が身についたと思います。