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人生を柔らかくして下さい

17Z1-079 鈴木 結惠
これは、キャラクターがもたらす癒しについての研究である。タイトルの『柔らかい』という表現は、とげとげしていない穏やかで優しい世界で生きたいという意味と、我々に癒しを与えてくれるキャラクターや柔らかいぬいぐるみをイメージしたものだ。誰かの心を柔らかくできるような研究にしたいと思い『人生を柔らかく』という題名にした。
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キャラクターと癒し

 研究のきっかけは、愛犬が昨年亡くなり、虚無感に包まれている時に、愛犬に似ているキャラクターやぬいぐるみに癒されたことである。自分で愛犬のイラストを描く様にもなりInstagramやラインスタンプを作り発信する様になった。人を癒すことのできるものを製作し、癒しを多くの人と共有したいと思い、人の心を柔らかく、ひいては人生を柔らかくできるようなキャラクターとは何かを研究した。
 多くの人がストレスを抱えながら生きる現代社会では、うつ病などの精神疾患が急増している。厚生労働省の調べによると平成26年は392 万人、平成29 年では400 万人を超えている。そのような状況の中、人の人生には『柔らかさ』が求められているのではないかと考えている。
 キャラクターを作成するにあたって、アンケートを行った。その際、柔らかさを直接的に聞いてしまうと、素材の柔らかさや柔らかいを象徴するような形態など直接的な回答が多くなってしまうことを恐れ、「柔らかい」に近しい言葉を探すことにし、我々の生活に馴染み深い「かわいい」という言葉を使用した。
 アンケートの質問内容は、可愛いと思う見た目の生き物、野菜、機械、生活用品の4種類である。*2 かわいいと思う生き物は、王道である犬・猫・うさぎの票が圧倒的に多く、かわいいと思う野菜では、よくスーパーで見かける有名なものが人気となった。また、かわいいと思う機械では、ロボット型掃除機が1番人気となり、丸みを帯びているフォルムのみが人気という訳でも無く、ぶつかりながら健気に掃除をするという姿が人気な理由であるのではないかと考えた。さらに、かわいいと思う生活用品では、食器類が一番人気となり、実際に、ディズニーでもかわいい食器のキャラクターが存在するので、想像がつきやすい事が票の多い要因ではないかと思う。

*1 厚生労働省 精神疾患
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html

*2 アンケートの結果を掛け合わせて作成されたキャラクター

キャラクター 総選挙100

 アンケート結果を掛け合わせたキャラクターを100体作成し、Instagramのアンケート機能を使い、キャラクター総選挙を行なった。1 位は、12票のいぬ×タオル、2位は9票のいぬ×赤ちゃん、2位タイなす×にんじんのファイヤー鳥と言う結果になった。上位に入ったキャラクターの傾向としては、白色のキャラクターが多く、目も白目の部分がない黒目のみのキャラクターが人気であった。鳥のキ ャラクターは、3個中3キャラクターがランクインした。また、あまり世に存在していない電子レンジなど分かりにくいキャラクターはあまりが人気がなかった。また、少々出来がキモかわいいものも、人気がなかった。やはり、王道なウサギやクマなどのキャラクター には多く票が入り、男性票では、電子機器系統のキャラクターに多く票が入った。

作成した100体のキャラクター

キャラクターは、見た目だけでは無く、キャラクター自身の性格に癒しの効果がある事が調査でわかったので、性格の設定も行った。

ぬいぐるみに癒してもらおう!

 キャラクターは視覚だけでなく、触覚によっても癒しを与えられるのではないか考え、アンケート上位3体を実際に制作し、普段ぬいぐるみと触れ合わない人に、キャラクターと共に生活していただいた。ぬいぐるみ自体にあまり興味はなかったが、いざ持って見ると癒された、柔らかくて触り心地も気持ちいいという意見が聞け、実際に柔らかい触感のぬいぐるみにも癒しの効果があるという事が分かった。
 「柔らかく」生きるということはとても 難しいことであり、これは一生をかけて考えていくべきテーマである。しかし、難しいからと言って思考停止になるのではなく、少しでも自分ができることで現状を変化させていくことが大切であると思う。今回の研究を通して、多くの人が日常生活に「柔らかさ」を求めているように感じた。この研究で、多くの人が「人生を柔らかく」できるような少しのきっかけになると幸いである。

鈴木 結惠

好きな授業
私が好きな授業は、「プロダクトA」です。2年生の時の授業で行なった、椅子作りがとても好きです。この授業では、椅子のデザインから制作まで全て自分で行い、何度も試行錯誤し自分の作りたいものを製作する事ができたので、とても印象深いです。

学部を振り返って
デザイン学部では、沢山の素敵な友人達と出逢う事ができました。プロダクトの授業をきっかけに、通称モケコウという場所で放課後課題を行っていました。そこに徐々に人が集まる様になり、今ではたくさんの素敵な人々と繋がることができました。

学部で身につけた力
企画力が身につきました。入学前までは、企画を考えたいとただ呆然に思っていただけでしたが、企画の授業を受けてからは、目的やターゲットをしっかり定めてから、深く調査し相手の求めているものをどこまで作り上げられるかを考えられる様になりました。