カテゴリー
カルチャー

コンシューマーゲームの分析を基にした遊びの提案

17Z1-064  櫻井 眞人
 私は、子供の頃から任天堂のゲームが好きでこの気持ちをデザインに活かしたいと思いました。同時に、現代社会では子供のコミュニケーション能力の低下が問題となっていることが分かりました。
 そのため、本研究では任天堂のやり方に基づいた遊びを通して、コミュニケーション能力の向上を図ります。
子供コミュニケーションゲーム
プレゼン動画を見る!

任天堂と玩具についての調査・分析

 遊びを提案するために任天堂のやり方と人気の理由、そして任天堂のどういうやり方を取り入れたら良いか知るために任天堂と玩具について調査しました。着目した玩具は、歴史の長さと人気の高さからレゴ(1934年~)とジグゾー(1760年~)にしました。レゴは様々なメディアを展開しており、映画は全世界500億円を記録した。
 任天堂の開発姿勢と人気ゲーム・ゲーム機が人気の理由、レゴとジグゾーの共通点を調べました。結果、遊びに求められる要素と両者の共通点が分かりました。
 共通点は「ターゲットは老若男女」「複数人で遊べる」「汎用性が高い」「一般化した技術を活用していること」で、遊びに求められる要素は「成長に繋がること」「コミュニケーションを促すこと」「安価で買えること」であることが分かりました。(これらについては、脚注1と2で説明。)
 そして、調査する中で以上の要素を持つ遊びと玩具を見つけました。それはバルーンアート作りとその風船です。風船は「様々な形を作れる汎用性」を持ち、技術が「一般化」した歴史があるため百円均一店で買えるほど「安価」な玩具です。バルーンアート作りは低年齢層に向けた玩具があることから「老若男女」でも遊べるようになっており、様々な風船を捻って組み合わせるというレゴと似たような内容であるため「知育を促すこと」と協力製作・製作物の共有など複数人で遊ぶことができます。
 これらのことから、提案する遊びの課題が見えました。一つ目は「老若男女が遊べなければならない」。任天堂、レゴとジグゾーは老若男女が対象です。二つ目は「知能発達を促す遊びでなければならない」。レゴとジグゾーは知育玩具として扱われており、売上が約169万円に達しているほどです。三つ目は「複数人で遊べなければならない」。任天堂もレゴとジグゾーも複数人で遊べることが可能で、レゴとジグゾーは協力製作と製作物の共有によりコミュニケーションを促しています。四つ目は「安価でなければならない」。任天堂は商品を安価で出すことで遊びやすくし、ジグゾーは安価で遊べるようにしたら普及したという歴史があります。五つ目は「汎用性が高くなければならない」。任天堂の据置型ゲーム機「Nintendo Switch」は携帯して遊ぶこともできる汎用性の高さを、レゴとジグゾーは様々な形に作れるという汎用性の高さを持っています。

1.自分で作成した2019年度の玩具売上のグラフ。知育玩具の売上から「成長に繋がること」が求められていることが分かった。
一般社団法人日本玩具協会よりhttps://www.toys.or.jp/touk
ei_siryou_data.html

2.任天堂、レゴとジグゾーの共通点をまとめた表。遊びに求められる要素「コミュニケーションを促すこと」「安価で買えること」は「複数人で遊べる」「一般化した技術を活用していること」という共通点から分かった。

企画する遊び「風船物語」について

 この企画は、遊び「風船物語」を通じて、他者とのコミュニケーションを取りやすくすることで、コミュニケーション力の発達を促すことが目的です。
 見えた課題の解決案として「難易度を低くする」「一つ一つの物を組み立てる内容にする」「協力製作と製作物の共有ができる内容にする」「百円均一店で買える玩具にする」「様々な形を作れる玩具にする」を考え、これらの要素を遊びに取り入れました。(理由については脚注1で説明)結果、企画する遊びはこれらの要素があるバルーンアート用の風船を用いた遊び「風船物語」になりました。
 「風船物語」の内容は「お題」に沿ってバルーンアートを作ることです。ルールは「ゲームを進行するのは語り手1人と複数人の作り手。用意する物は作る物を指示するストーリー形式の「お題」と複数人で遊ぶための机。語り手は「お題」を読み上げ、作り手たちはそれに従いバルーンアートを作る。全員が作り終えた後、語り手は全員のバルーンアートがお題の内容をどれだけ満たしているかを点数形式で判定し、1番点数が高かった作り手が勝者で、その人だけがストーリー形式の「お題」の結末を知ることができる」。
 用意する机は用意し易さを考慮して、実家にある机のサイズを目安としました。机は6人まで座れるサイズであるため、作り手は6人までを限度とします。「お題」をストーリー形式にした理由は、遊びに対して没入感を与える事と「お題」の内容を話題の一つにすることを狙ったからです。また、ストーリーの正確な音読と公平な判断をできるのは、ストーリーへの理解が一番深く、ストーリーの内容に適したデザインを考えた本人だけだと思い、「お題」を作るのは読み手にしました。点数形式にしたのは、遊びに対する意識の高揚が見込めると考え、勝者だけがストーリー形式の「お題」の結末を知ることができるルールにしたのも少なからず遊ぶ人の好奇心を掻き立てられ、意欲を高めることができると考えたからです。
 企画で使う玩具は、8歳以下を対象にしたバルーンアート用の風船です。百円均一店ダイソーで販売しています。ポンプと作り方の説明書が入っており、袋の裏側には膨らませ方が書いてあります。この企画は、8歳以下も対象のため玩具を一部デザインしました。膨らませ方の説明は小さい文字と見本絵しか無いため一部の人には見えづらいと思い、大きい文字と見本画像にデザインしました。また、風船の口を結ぶのは難しいと思い結び方の説明書を一から製作しました。

1.解決すべき課題の解決案として考えた理由。

2.デザインした風船の膨らませ方の説明書。文字と写真は目が悪い人でも見やすいように大きくした。

3.製作した風船の口の結び方の説明書。文章だけでは分かりにくいと思い、写真を付けることで誰でも分かりやすい説明書にした。

今後の課題について

 遊びが、どれだけ課題を解決できたか検証しました。
 実験内容は、「風船物語」を遊んでもらうことで、解決すべき課題をどれだけ解決できるかを検証しました。遊んでもらった後は課題をどれだけ解決できたかを聞き取ります。聞き取りした関係者は、60代の主婦と男児小学生です。
 結果、「老若男女が遊べなければならない」については難しいという意見が出ており、作るのにとても時間を要したため、老若男女が遊べる内容では無かったことが分かりました。(他の課題については脚注1で説明)
 そのため、今後はコミュニケーションを更に促すために「敷居を低くして取り組みやすくすること」を課題に、改善していきたいと思います。

1.課題に関して、聞き取った内容。

櫻井 眞人

好きな授業
私が好きな授業は、シナリオ制作実習です。アニメーション作品の脚本などから、シナリオの書き方について学ぶ授業でした。
あまり知れないシナリオの構造について知ることができ、初めてト書きで書いた時の新鮮な気持ちは今でも覚えています。

学部を振り返って
当初の私はデザインについて全く知らず、相手のために何かを作ることができない人間でした。しかし、デザイン学部で様々なことを学び、それにより相手の気持ちが分かるようになったと思います。

学部で身につけた力
特に身につけて良かったと思った力は、こちらの意図を分かりやすく伝える力です。以前の私は、自分の意図を伝えたいのに全く伝わらないことが多々ありました。しかし、デザイン学部で学んでから自分の意図を伝えられるようになりました。