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これまでにないフェスの提案

17Z1-043 唐津 葵
本研究で行う提案のターゲットとして私が選んだのは、「音楽は好きだがフェスに興味がない人」である。実際のフェスにどうすれば足を運んでもらえるかを考えた時に、少しでも雰囲気を知ってもらうことできれば、興味を持ってもらうことが出来ればいいのではないかと考え、フェスに興味がない人に興味を持ってもらうためのフェスを提案する。
ポップカルチャー空間設計音楽
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音楽は好きだがフェスに参加しない人が、参加しない理由

 同じ音楽が好きでもフェスに参加する人としない人がいる。参加する人は何故参加し、参加しない人はなぜ参加しないのか。本研究では参加しない人に焦点を当て、そこにどのような理由があるのかを知るために調査を行なった。その結果、以下のような理由が挙げられた。
・体力的に辛い。猛暑日の炎天下で、日陰のないところで踊るというのは、若くて健康な人であっても体力的に厳しい。
・暑いのが苦手。フェスの多くが野外で実施することが多く、夏の暑さと炎天下で行われることが当たり前であり、大勢の人が集まるため暑さは尋常ではない。
・人口密度が高い。夏フェスは基本的にオールスタンディングで、座る席というのはない。ライブ中は全体的に人と人がかなり密集することになる。特にステージ前方はかなり密集して、人口密度が高くなる。
・大勢で集まり騒ぐことが目的になっている。夏フェスは音楽を普段聴かない人も来ていたり、ただ大勢で集まって騒ぎたい人もいる。音楽に浸りたい人には向かないと言える。
・会場のアクセスが不便。全てのフェスがということではないが、最寄りからシャトルバスに乗ったり、駅から会場が離れている場合が散見される。
・一人での参加に向かない。周り大勢がみんなで一緒にいる人達を見ると、そんな空間で自分だけ一人でご飯を食べるのはなんとも言えない空虚感がある。
 このようなフェスが苦手な人の意見から、寒暖差があまり起こらないような場所を選び、体力的に辛いと感じたらすぐ休むことができ、人があまり密集しない状況を作り出すことで、少しでも気軽に参加できるような環境でのフェスを提案したいと考えた。

これまでにないフェス「CINEMA MUSICA」

 私が提案するのは、映画館全体を会場にして開催するフェスである。フェスに行かない人が行かない理由として挙げるデメリットとして、人混みや高い気温などがあるため、それらを避けることができる最適な場所で音楽を楽しむ空間を提供できるイベントにしたいと考えたことが、映画館を会場とした理由である。イベント名称は、「CINEMA MUSICA」である。CINEMAはイギリスで映画館を指し、MUSICAはラテン語で音楽という意味である。これを考えるにあたって、毎年開催されているSUMMER SONICを参考にした。SUMMERが英語で夏であり、SONICがラテン語で音という意味であるためその名付け方に倣った。
 本研究の目的は、フェスの雰囲気や楽しさを感じてもらい少しでも会場に足を運びたいと思ってもらうことである。このフェスの最大の特徴は映画館であることだが、それは、シアターをライブハウスとして利用することで可能となる。映画を鑑賞するための座席を、そのままフェス来場者がライブを鑑賞するための座席とし、スクリーンやその手前にあるステージをライブのステージとして活用する。アーティストは実際には同じ空間にはいないが、立体映像を使って映し出すことで、まるで目の前に存在しているかのように演出する。そうすることで、臨場感が生まれ、同じ時間と空間を共有した状態を演出することができる。アーティストはネットワークで繋がっており、リアルタイムにスタジオやライブハウスから会場に演奏を配信する。アーティストにはカメラを通して、イベント会場の様子と声が確認できるようにする。大きい会場でライブを行う際には、スクリーンの手前のステージ上にアーティストが映し出され、その後ろのスクリーンに歌詞が流れたり、アーティストが映ったりする。それにより、座席がスクリーンから離れている人も楽しむことができる。本来のフェスの形とは少し異なるところはあるが、実際に開催されているフェスの魅力を盛り込み、音楽が好きな人は盛り上がることができ、楽しめるイベントになるように工夫した。
 会場は、実際に池袋にあるグランドシネマシティを想定している。駅から近いということと、音響環境が優れていること、また、レストランやカフェなども併設されているため実際のフェスと重なる部分があるからである。ライブのタイムスケジュールでは、現在人気のアーティストから年代を超えて支持があるバンドをラインナップすることで、親子で一緒に来てもらうことができる。幅広い年齢層にフェスの良さを知ってもらい、他のフェスにも参加するようになって欲しいと考えた。

ロゴデザインは、シックかつインパクトを持たせたいと考えた。周りを暗く、文字を明るめにすることで、コントラストができるため、離れた場所からでも目を引くことがデザインにした。

CINEMA MUSICAの会場図

CINRMA MUSICAをきっかけにフェスに興味を持って欲しい

 この企画が有効であるのかを検証するために、音楽は好きだがフェスには興味がない人にCINEMA MUSICAについて説明し意見を聞き取る方法で調査した。その調査を通して、次のような意見を得ることができた。会場のことに対しては実際のフェスよりも映画館の方が行きやすい、座席があるからゆっくり観られる、駅から近いのはいい、などである。イベントの内容に対しては、一人でもいける雰囲気であれば行きたい、通常のフェスやライブのチケットより安ければ考える、楽しそうだから行って観たいなどの意見をもらうことができた。これらの意見を受けて、今回提案したイベント内容は、音楽は好きだがフェスには興味がない人がフェスに興味を持つきっかけになり得るという手応えを得ることができた。
 本研究で提案したCINEMA MUSICAに参加してもらうことによって、この企画のターゲットである「音楽は好きだがフェスには興味がない人」に、フェスに対していいイメージを持ってもらい、他のフェスにも参加しようという気持ちになるのではないかと感じた。これまでフェスは音楽に興味関心があったりその空間や雰囲気が好きな人が足を運ぶ場所と考えられていたと思う。最初のうちは踏み込むのに勇気がいることが多いが、もっと気軽に行くことができ、誰でも楽しめるような場所になって欲しいと考える。

唐津 葵

好きな授業
私が好きな授業は、「グラフィックC」です。3年生の時の授業で、架空の企業を作って企画立案を立てていったものです。この授業を選んだ理由は、今までやっていたことを全て盛り込んで制作していき、いいものを表現することができ、楽しかったからです。

学部を振り返って
企画表現演習で、プレゼンをすることの大事さや企画をすることの難しさを学びさらに、それを表現することの大変さを経験し、辛い時もありましたがいい大学生活だったと感じます。これまでに縁がなかったことを4年間やってきて、大きく成長できたと思います。

学部で身につけた力
デザイン学部で身につけた力は発想力です。グループでの活動が多かったため、たくさんの人と交流を取ることができました。そのため、今までなかった発想に気づくことができたり、様々な課題に取り組むことで大きく成長できたと感じます。