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“感謝”で人生を豊かにする

自己肯定感を高める「ありがとうリレー」の提案
17Z1-041 金子 遥南
日本人は自己肯定感が海外の人々と比べて非常に低い傾向にある。この問題を解決するために、自己肯定感と感謝を掛け合わせた「ありがとうリレー」を提案する。これにより自分の強みを知り、その強みを自信に変え、その自信を自己実現に繋げる力を身につけることを狙いとし、その結果日本人の自己肯定感を高めることを目標としている。
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なぜ日本人の自己肯定感を高める必要があるのか

 自己肯定感とは、自分の良いところ・悪いところを含めて自分を受け入れる感情のことである。自己肯定感が高い人は、チャレンジ精神が備わっており、 自己実現に繋げる力がある。この自己肯定感が日本人は非常に低い[※1]。それは他の国では見られない日本独特の、“謙遜文化”と“集団主義”が原因である。
 まず“謙遜文化”について述べる。日本人は相手を褒めて自分を下げる文化があり、“謙虚さ”を美徳としている国である。 例えば「すごいね」と褒められた時に、「そんなことないよ」と返すことが“謙虚”だという認識が日本にはある。しかし、そうすることでネガティブな言葉が口癖となってしまう。また、そのせいで自分にどんどん自信がなくなってしまうのだと、海外の研究者[※2]は述べている。
 次に“集団主義”[※3]について。⽇本の学校では「⼈に迷惑をかけてはいけない」「みんなと同じ⾏動をしなければいけない」などといった教育を受け、それに応じた厳しい規則も設けられる。集団主義であることは社会で⽣きていく中で⼤切なことだが、⽬⽴ってしまわないように、周りに迷惑をかけないように⼼がけることで、個性を抑えられ、チャレンジ精神が育たなくなってしまう。
 これらが原因で⽇本⼈は⾃⼰肯定感が非常に低い傾向にある。今後、IoTやAI などを始めとする技術が進展し、私たちの⽣活のあり⽅も⼤きく変わると⾔われている。社会が⼤きく変化しつつある今、社会がどんなに変化しても⾃⼰実現を果たせる⼈間になるためには⾃⼰肯定感が必要となる。

[※1]国立青少年教育振興機構が2018年に高校生を対象に行った集団質問紙法による意識調査

[※2]⽶ロヨラメリーマウント⼤学のマーク・ウォルドマン教授と脳神経学者のアンドリュー・ニューバーグ博⼠の共同研究
ネガティブな⾔葉はストレスホルモンを⽣成させてしまい、ポジティブな⾔葉は満⾜ホルモンを放出させることが明らかとなった。

[※3]集団主義
個⼈は集団と⼼理的な⼀体感をもつとともに集団の⽬標や利害を⾃分のものよりも優先させていくという集団中⼼の考え⽅。

日本人の自己肯定感を高める「ありがとうリレー」の提案

 「ありがとうリレー」とは、感謝を伝えたい⼈に「ありがとうCard」という専⽤のカードにメッセージを書いて渡し、もらった⼈は別の⼈に「ありがとうCard」を書いて渡していくという、感謝をリレー形式で伝える取り組みである。この取り組みは学校や会社などの組織内で⾏うものだ。これは、自己肯定感を高めるために大切だとされている4つの方法[※4]に沿って企画したものである。この方法により、⽇本⼈の⾃⼰肯定感を高めることが期待できる。
 この取り組みを行うにあたって使用する「ありがとうBook」の中には、切り取り式の「ありがとうCard」と、もらったCardを収納できるクリアポケットが付いている。収納することで、もらったCardを見返すことができ、自分の自信へと繋げることが期待できる。

[※4]自己肯定感を高めるために大切だとされている4つの方法

「ありがとうリレー」に期待できること

 ⽇本⼈は⾃⼰肯定感が低いため、⼈と⽐べて落ち込んでしまったり、様々なことを諦めてしまったりと、⾃分に⾃信を持つことができなくなってしまう経験がある⼈も多いことと思う。しかし、⼈は誰しも他の⼈よりも優れている“強み”があるはずだ。そういった本来の⾃分の“強み”を「ありがとうCard」のやり取りを通して⾒つけてほしい。また「ありがとうリレー」を通して、ありがとうが溢れる環境の中で、日頃からポジティブな言葉づかいを心がけてほしいと考える。
 「ありがとうリレー」を取り入れることで、自分自身の強みを知り、その強みを⾃信に変え、その自信を自己実現に繋げることで、結果として⾃⼰肯定感を⾼めることが期待できる。さらには⾝につけた⾃⼰肯定感を活かし、様々なところで活躍できるようになることがこの提案の最終的な狙いである。
 以上が“⽇本⼈は⾃⼰肯定感が低い”という問題を少しでも解決し、日本人の自己肯定感を高めるための、「ありがとうリレー」という仕組みの提案である。
 この研究をきっかけに、以前よりも「ありがとう」という言葉を聞いたり伝えたりする機会が増えることを願っている。

金子 遥南

好きな授業
「企画表現演習」です。この授業では苦手なプレゼンに取り組んだり、グループワークの難しさを感じたり、徹夜で作業を行ったりと大変だった思い出が多いですが、この授業がなかったら今の自分はいないと思います。大きく自分を成長させてくれた授業です。

学部を振り返って
周りの方々の大切さを感じました。行き詰まった時や困っている時に相談にのってくださる先生方や指導員さん。遅くまで残って作業をし、頑張ろうね!と声をかけてくれる学部の皆。支えてくれた方々がいたから4年間悔いなく終えることができました。

学部で身につけた力
「暮らしをより良くするデザイン力」です。この力は問題を解決に導くことができ、様々な分野で活かすことができます。サイトトップページの「4年間の学び」のコーナーでこの力についてのプレゼン動画が上がっているので、ぜひそちらも見てみて下さい!