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限りある資源を大切に使うためにできること

17Z1-033 小原 悠佳
世界では衣料品の大量廃棄が問題になっている。SPA企業やファストファッションの繁栄により、低価格で服が手に入るようになったことが原因とされる。衣類の廃棄を減らすために私たち一人一人ができることは何か、どんな取り組みによってそれを実現することができるかを考える必要があると思ったことが研究の始まりである。
作る衣服社会
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大量廃棄の現状

 近年、衣料品の大量廃棄が問題になっている。この問題が大きくなった一番の要因は、安価な「ファストファッション」が人気を呼んだためである。ファストファッションは、「流行の最先端をいち早く取り入れた、低価格で、ほどよい品質」を意味する。従来は、流行の先端をいくファッションは、高価格で限られた人だけが購入できるものであり、時間の経過と共にデザインが普及し、安価で大量に提供され、多くの人が手にするようになるという図式が、これまでのファッション業界の常識だった。しかし、その常識を覆したファストファッションは、最新のトレンドが低価格で入手できるようになり、新しいファッションを気軽に挑戦できるため、多くの人々から注目を集めた。消費者は安く大量に流行の衣類を購入できるようになったが、それとは裏腹に数回しか着ていない衣類でも飽きたらすぐに捨ててしまうというようなケースも増えている。
 日本国内では、毎年アパレル衣料品が約29億点生産されている。しかし、その中から実際に購入されるのは14億点だ。残りの15億点はそのまま処分され、およそ半分が消費者の手に届かないまま廃棄となるのである。
 近年、世界的にプラスチックごみ問題に注目が集まっているが、世界2番目の環境汚染産業についてはあまり認知されていない。それは「繊維産業」である。世界で2番目の環境汚染産業である繊維産業(ファッション業界)にとって、この問題は深刻に捉えなくてはならない。
 アパレル業界全体がこの問題に目を向け、今できることに取り組むべきだ。また、企業としてではなく、一般消費者、つまり服を買って着る側としてどんな取り組みが出来るのか考えていく必要がある。まだ使用することができるにも関わらず廃棄される衣料品を、廃棄以外の処分方法・活用方法そしてそれを実行することが消費者のできる取り組みではないだろうか。

「アップサイクル」に挑戦

 江戸時代から、1枚の着物を穴があいてもお直しを重ね、継ぎ接ぎにしても大事
に1着を着続け、さらに使い物にならない形になったものは捨てずに座布団や子供服にリメイクを行う習慣があった。
 アップサイクルとは、古着や廃材を使って新しいものへと蘇らせ、価値を高めることをいう。例えば、古くなり洋服としての価値が下がっていたものを活用してバッグやアクセサリーへと生まれ変わらせたりすることだ。もともとの形状・素材・特徴などを活かすことがポイントである。
 普段は自分にとって必要がなくなってしまった衣類などはリユースショップへ持って行くことや、お下がりとして誰かに譲ることが多い。今回そんな私が、13個の使わなくなったアイテムを使ってアップサイクルに挑戦した。

広めるための手段の提案

 今起きている問題に、一人でも多くの人が危機感を覚えるためには、より多くの人がこの問題に目を向ける工夫が必要とされる。
 本研究は地球環境の危機や廃棄問題を広めるための手段を提案することを目的にしている。提案先は、サスティナブルに取り組む古着屋を含むファッション関連ショップおよびブランドである。最近では、廃棄問題がテレビで取り上げられることが多くなり、それらの取り組みへの理解も進んでいると感じる。しかし、よりこの問題を広めていくために、今の時代にあったSNSを活用し情報を広めていくことで、多くの人に広める事ができると考える。更に、SNSだけではなく、半強制的に視界に入ってくるポスターを活用し、2つを組み合わせた提案をする。この提案で活用したいのが、飲食店の入口やレジ回りで目にする「Instagramフォローで10%オフ」などというPOPだ。このような方法で様々な企業が集客を得ている。協力していただける店舗に「Instagramに店内のポスター写真投稿で10%off」と記載したPOPの設置と、地球環境の危機を伝えるメッセージを含めたデザインのポスターを設置する。POPとポスターの2つを店舗内に設置することで、ポスターを見てくれた方にはもちろん、ポスターで伝えたい情報を、Instagramでも拡散してもらえるということができる。Instagramは画像の投稿が中心となるため、店内に置くポスターは写真に撮って見栄えのするデザインにすることや、閲覧した人に伝えたい情報が一目で分かりやすいものにすることが大切である。ファッション関連企業は地球環境に対して取り組んでいることをアピールすることができ、イメージアップにも繋がるためメリットになる。
 環境を意識した取り組みをする企業が増えるとともに、廃棄問題や、環境問題を意識してもらえるような情報を広める取り組みも増えていってほしい。数年、数十年後の未来も、心地よくファッションを楽しめる世界であることを願う。

小原 悠佳

好きな授業
私の好きな授業は材料加工実習Cです。和気藹々とした雰囲気の中で受けられる授業なので毎回とても楽しかったです。ものづくりはあまり得意ではありませんが、何事も丁寧に行うことが大切だと学びました。

学部を振り返って
こんなにも忙しい大学生活は想像していませんでした。しかし、デザイン学部での経験は間違いなく自分の力になったと思います。一人で頑張ってきたというよりも、デザイン学部のみんながいたからここまでこれたなという気持ちがあります。

学部で身につけた力
他者と協力しながら取り組む力を身につけました。色々な価値観や考えを持つ人たちと協力しあい、個人ではやり遂げることのできないような目標も、グループメンパーとの連携によって実現することができたとき、達成感がありました。