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ハンドメイド作家の売るためではないブランディングとは?

17Z1-013 稲田 萌乃
私の母は、17年間、様々な素材を利用して、身の回りのものを、ハンドメイドで作り続けている。その母の役に立ちたいと思い、本研究を行うこととした。母の願いである「売るだけではないブランディング」とは何かについて、様々な調査から考察し、企画提案を行った。
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ハンドメイドを取り巻く現状

 ハンドメイドとは、「人の手によって作られたもの」のことである。かつてハンドメイドは、お母さんの手芸や、素人の作品といったイメージが強かったが、市場の拡大とともに「オリジナリティーのあるもの」「人のぬくもりを感じる丁寧 に作られたもの」といった新たなイメージが定着しつつある。[※1]
 実際に、大学生やハンドメイド教室に通う方へのアンケートでも、ハンドメイドの魅力について、「唯一無二であること」「作品1つ1つに温かみ、味があること」「色や形を自分好みにアレンジできること」などという意見が多くあった。そのため、ハンドメイドに関わっている人も、そうでない人も、ハンドメイドにある魅力をしっかり感じているとわかった。
 現在、インターネットを通じて、作品を販売し、購入するという手段で、ハンドメイドの輪が広まりつつある。しかし、自分の作品を販売し、納得のいくまでデザインにこだわることと、仕事として儲けることを同時に達成するのは、想像以上に難しいようである。そこで、ハンドメイド作家のイメージを、「作品の販売」から広げることが必要であると考えた。
 大学生と、ハンドメイド教室に通う方へのアンケート調査により、わかったことは以下の通りである。
・ハンドメイド作品限定のネットショッピングサイトの需要が、現在の若者から高まってきていること[※2]
・ハンドメイド作品の制作には、キットを使用する機会が、どの世代でも多いこと[※3]
・ハンドメイド作家になるには、作品の売り方がわからず、そもそものなり方がわからない人がいること

※1 引用
CINRA.NET「世は空前のハンドメイドブーム。仕掛け人minneの狙いと本音に迫る」https://www.cinra.net/

※2 アンケート結果1
ハンドメイド作品の購入についてのアンケート調査の結果。

※3 アンケート結果2
ハンドメイド作品の制作についてのアンケート調査の結果。

ハンドメイドブランド「Ange〜アンジュ〜」

 「Ange~アンジュ~」の始まりは、2005 年である。母がハンドメイドを始めたきっかけは、友人が持っていた手づくりバッグの素材が、紙であるのに丈夫なことに衝撃を受け、すぐにバッグの作り方を教えてもらったことである。それ以来、自分で本を買い、夢中で紙バンドのバッグ制作に打ち込み、作品の販売を始めた。その後、ホームページや名刺を作り、ブログを書き、ハンドメイド技術を人に教えるため、自宅にてハンドメイド教室を始めた。レシピ作成や新作品考案なども全て自分で行い、教室やブログを通じ、「Ange ~アンジュ~」を、そしてハンドメイドの楽しさを広めている。現在では、姉妹校もできている。
 しかし、これまでブランドイメージについて、あまり意識をしておらず、ブランドのロゴが統一されていなかったり、イラストは既存のものを引用していたり、というような問題点があった。それを解決するために、今回、ブランディングを行い、ブランドカラーを紫とし、「ロゴマーク・イメージキャラクター[※4]・名刺・ホームページ[※5]・ペットボトルラベル・キットの表紙」を制作した。

※4 ロゴマーク・イメージキャラクター
ロゴマークは、パッと見てブランドカラーである紫が印象に残るようなデザインにした。また、ブランド名「Ange」は、「天使」の意味を持つことから、羽をデザインに取り入れ、ロゴ全体は、天使の輪をイメージさせる丸型で表現した。また、よりブランドのイメージを強く残せるよう、完全なオリジナルの天使のキャラクターを作った。

※5 ホームページ
何も知らない人がアクセスをしても、情報が得やすいように、お知らせや様々な写真をトップページに置き、 親しみやすさを感じるホームページにした。
https://ange-multi-pocket.amebaownd.com

作品を売るだけではないハンドメイド作家

 様々な調査から、「作品を売るだけではない作家」とは、「ハンドメイド教室や、ハンドメイドキット、レシピ販売をメインに活動する作家」であると考えた。そのため、本研究テーマ「ハンドメイド作家の売るためではないブランディングとは?」の答えは、直接会う前から信頼や親しみやすさを与えられるよう、ブランドデザインの全体に統一感を持たせ、さらにブランド情報を得やすい環境を、常に整えるブランディングを行うことである。
 なぜなら、ハンドメイド作品を売る場合は、現在、すでにたくさんの出品方法がある。また、出来上がった作品の好みや、価格次第で、ブランドについて知らなくても、購入してもらうことができる。しかし、ハンドメイドキットを売る場合は、販売方法が絞られてしまい、まずブランドを知ってもらわなければ、買うきっかけがほとんどないためである。
 よって、まず、ブランドを知ってもらうには、SNSの活用や、協会などのコミュニティー内での活動が重要になり、さらに広く知ってもらうには、ブランドのイメージとなる、ロゴやホームページに興味関心を持ってもらう必要がある。そのため、どこからでもブランドイメージが伝わるように、最初に触れる可能性のある部分全てに、統一感のあるブランディングを行うことで、ブランドに対する信頼や親やすい印象を与える必要があると考えた。
 本研究を行い、「作品を売るだけではないハンドメイド作家」を提案することで、ハンドメイドを新たに始める人や、今までと異なる方法で楽しむ人などが増え、ハンドメイドの世界が、もっと盛り上がることにつながると幸いである。

稲田 萌乃

好きな授業
私が好きな授業は、「サウンドデザイン」です。主にガレージバンドを用いて、音と映像や空間を融合した作品を制作しました。この授業では、身の回りでよく耳にする音を使ったり、音のない動作に音を付けたり、音の表現の面白さを知ることができました。

学部を振り返って
1年時からプレゼンテーションを繰り返し行なってきました。よって、伝わりやすい話し方や、スライドの作り方など、多くの技術を学び、実践することができました。この学部で何よりも、印象に残り、成長を感じることができた部分でした。

学部で身につけた力
企画力を身につけることができました。新しい文具やイベントの企画提案を実際に行い、デザイン面だけではなく、実現可能な企画提案にするために、必要なことを、学ぶことができました。また、グループで行う活動から、仕事分担の大切さも学びました。