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配送用ドローンを活用した物流システム効率化手法の提案

17Z1-010 礒貝 志音
以前私は物流倉庫内でリストに指定された商品を集めるピッキングというアルバイトをしていました。そこで商品の破損や出荷ミスなどに効率の悪さを感じました。また、ネットショッピングの普及により宅配ニーズの増加によって人手不足が問題とされています。そこで現在物流業界で注目を浴びているドローンを使った企画を提案することにしました。
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調査、分析

 ドローンについての調査です。ドローンとは、遠隔操作または自動操作により飛行させることができる、人の乗ることができない回転翼飛行機のことを言います。ホビー用から産業・商用まで幅広くあり、高所作業、人の立ち入れない場所、特殊カメラによる調査、撮影、警備など様々な場面で使われています。
 次に物流倉庫についての調査です。実際に物流倉庫で起きている問題を探るために経営者の方と作業員の方にインタビューをおこないました。経営者側では、主に3つのポイントがあがりました。1つ目は繁忙期の人手不足。2つ目は新人作業員の学習能力の差。3つ目はamazonなどが導入しているロボットは導入する際のコストが高すぎるということでした。作業員側の意見では4つのポイントがあがりました。1つ目はリストの商品を見つけられない時、歩き回ってしまうため効率が悪いということ。2つ目は商品が棚に出ていないとき、商品管理の人に伝えに行く手間がかかるということ。3つめは品違いミスが頻繁に起こること。4つめは新人の面倒をみていると自分の作業が進まないということでした。
 これらの調査をもとに分析します。人手が足りない時はアルバイトを多く雇うため新人が増えます。そしてベテランの作業員が新人に作業を教えます。結果ベテラン作業員の手を止めて新人育成をするため、ベテラン作業員の作業が進まなくなってしまいます。人を増やすだけでは効率が良くなるわけではないということが考えられます。出荷ミスの問題は、ミスの集計を昼休みや終業後に行われるためその場で本人に伝えられることはありませんでした。そのため、同じミスを繰り返してしまうのではないかと考えられます。これらを5つの項目にまとめました。農薬散布のような広範囲で人が歩き回る業務ではドローンが使われている、人手不足が大きな問題となっている、新人教育に時間を割かれている、作業員のミスが起こりやすくなっている、倉庫ロボットより導入コストを抑えることができる。ということになります。

左上 農薬散布ドローン
右上 高所での作業
左下 人の立ち入れない場所での作業
右下 高所からの撮影

分析をもとにまとめた項目
ドローンの調査を物流倉庫の調査結果を重ね合わせ分析を進めた。

企画・提案

 分析でまとめた5つの項目に対応した機能を実装します。
1つ目、広範囲の作業をドローンでカバーする。空中を移動することができるドローンは通路の制限がないので広範囲の倉庫を自由に移動することができます。警備ドローンなどに使われている自動飛行機能を活用し、倉庫内を自動で巡回させます。自動巡回の方法は倉庫内の柱に誘導体を付け、それを元に巡回させます。空中から監視している操縦者は、いつでも自動巡回を解除し自分で操作することができます。これにより、操縦者は必要な時だけ操縦することが可能になります。常に操作をする必要がないため、操縦者の負担を減 らすことができます。2つ目、人手不足解消の為の人的負担を減らす。空中に飛ばしたドローンで撮った映像をスマートフォンまたはパソコン等に受信させることで、操縦者が手軽に映像を確認できるようにします。空中から倉庫内を眺めることで商品の在庫をすぐに把握することができます。在庫数が少なくなっている商品を迅速に把握し、品切れが 起きる前にロケーションに出すことが可能になります。これにより、ロケーションに出ていない商品を作業員が探し回る必要がなくなり、商品を管理している作業員に商品を出してほしいと頼みに行く時間と手間が短縮されます。3つ目、新人教育の効率化をする。現在の物流倉庫では商品の場所がわからない新人がベテラン作業員に質問をしていました。そこで一緒に商品の場所まで歩いていきます。それによってベテラン作業員の作業時間が奪われてしまいました。このドローンを使うことで、商品の場所まで飛んで誘導してくれます。わざわざ下道を歩く必要がないのでベテラン作業員は作業に集中することができるということになります。LEDライトを利用して新人作業員を誘導します。4つ目、ピッキング作業によるミスの軽減。内蔵されたスピーカーを利用し、音声でミスを指摘します。イメージ的には飲食店のドライブスルーのような感覚です。それにより商品棚に誤った商品を置かないようにさせます。その場で本人にミスの指摘をすることで、ミスの自覚をさせます。自覚させることにより、同じミスを起こしにくくすることが狙いです。それにより、誤出荷を予め防ぐことが可能となります。5つ目、導入コストを抑える。amazonなどの倉庫ロボットは1台200万円台かかることに比べ、ドローンは1台20万~70万円台と比較的安価であるので導入コストを抑えることができます。

左 空から在庫を監視することで減っている商品をすぐに見つけることができる。
右 目当ての商品の近くまでドローンを飛ばし新人作業員を誘導する。

左上 誘導体を受診し自動巡回するドローンのイメージ
右上 ピッキングの流れについて
左下 新人教育の効率化について
右下 ミスの軽減について

検証結果・今後の展開

 これらの企画を実際に作業員の方に聞いてもらい、意見をいただきました。1つ目は、通路の制限を受けないドローンは多くの物がおいてある物流倉庫に有用であるとの意見をいただきました。2つ目は、空から在庫を管理することで、作業員が歩いて商品の場所まで行く必要がなくなったという意見から、人手の足りない作業を助けにいける効果があると見込まれます。3つ目は、新人の誘導をドローンが行うことでベテラン作業員に頼る必要がなくなったという意見から、全体的な作業効率があがることが見込まれます。4つ目は、空中から直接ミスを伝え、ミスを自覚することができれば、再発防止につながる見込みがあるといった意見をいただきました。
 いただいた意見をもとに考察すると、ドローンの操縦者がミスに気づけなかった場合、指摘することができないといった問題がでてきました。そのためミスを発見する機能が必要であることがわかりました。また、現在の技術では連続飛行時間が短く、常に1台で監視し続けることができないという問題がでてきました。対策としては地上の装置からケーブル等で電力を供給する方式などがありますが、それでは飛行の利点である通路の制限を受けないという点が活かし切れなくなってしまいます。電力供給機能を改善する必要がでてきました。コストの問題については、実際に運用してみないと詳しい数字を算出できないといったところが今後の課題となりました。

礒貝 志音

好きな授業
好きな授業はメディアCです。この授業ではprocessingを使ってゲームをつくりました。プログラミングをするのは初めてだったので苦戦しましたが、普段自習をしない性格の私が授業以外に自分で調べて勉強をした授業はメディアCが初めてでした。

学部を振り返って
課題がとても多く期限も短いので大変でした。慣れるまでは自分の時間を作ることが中々できませんでしたが、良い意味でサボり方を覚えられたのかなと思います。また、友人と一緒に夜遅くまで学校に残って課題をこなしたことはいい思い出です。

学部で身につけた力
イラストレーター、フォトショップのようなAdobeソフトの基本的な使い方。processingを使ったプログラミング。プレゼンの方法とスライドの作り方など。