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カルチャー

バラエティ番組で発揮されるテロップの有用性

人々を惹きつける表現
17Z1-003 荒谷 空
観る人を惹きつけ楽しませる「バラエティ番組」とテレビ番組を作る上で情報伝達の手段として欠かすことのできない「テロップ」は、互いの特性を活かしあってより質の高い表現となる。テレビ及びバラエティ番組を取り巻く環境の変化やテロップの使用目的を調査していくことで、テロップの魅力的な表現とはどのようなものなのかを明らかにしていく。
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番組・時間帯ごとで表現方法の違いが出るのだろうか

 テレビ業界では放送する時間帯を全日とプライムタイム[※1]、ノンプライムタイム[※2]の三つに区別することができ、時間帯によって番組の作りそのものが変わってくる。23時以降の深夜番組というのは、プライム帯と比べ予算がかけられない中で視聴率をそこまで気にすることなくより挑戦的な番組が放送されていることもあり、ニッチな番組や個性的な番組も多い。
 そこでバラエティ番組の中からさらに時間帯で分け比較していくことで、明確な表現方法の変化もといテロップの使われ方が変わってくるのではないかと考えた。実際に卒業論文では10種類の番組を選定し、それぞれの番組特徴とテロップの使用意義や目的を明らかにした。

※1 プライムタイム
一番多くの人がテレビを見ているとされる
19~23時。

※2 ノンプライムタイム
6~19時、23~24時。

左画像の引用元
https://www.paravi.jp/title/16192

https://www.ntv.co.jp/goten/

テレビ朝日「マツコ&有吉 かりそめ天国」の新タイトルロゴ、OPアニメーションを担当。

https://www.ntv.co.jp/007/

https://www.fujitv.co.jp/DOWNTOWN_NOW/

テレビ東京「あちこちオードリー〜春日の店あいてますよ?」タイトルロゴ、などアートワークを担当。

https://www.tv-asahi.co.jp/ametalk/

https://www.tv-asahi.co.jp/hansei/

https://www.ntv.co.jp/yofukashi/

https://www.fujitv.co.jp/DNN/

テロップの役割と目的

 調査を通してわかったことは大きく分けて2つ。一つは言葉の持つ意味合いや誰が何を話しているのかを明確にする役割がテロップにはあるということ。例えば赤は注目を集めることができたり、怒りや熱の入り具合など感情を表現する際に適した色であり[※3]、黄色は明るさを表現する際や親しみやすさ、注意を促したい時に使いやすい色である。「さらなる輝き」[※4]というような文言が出た際には、今度は「輝き」という言葉のイメージから金色が使われたりする。また話し手によってテロップの色を変えることで、誰による発言なのか明確にしている。テレビの液晶化や大型テレビの普及、文字テロップ装置の進化、ながら視聴の常態化などにより今日のようなテロップが一般化したと考えられる。作り手側や取り巻く環境だけではなく、視聴者側の変化もテロップが頻繁に使用されるきっかけの一つとなった。このように色・形・大きさなどの多様なテロップ表示が可能になったことにより、感情の変化や臨場感を表現することを可能にし、より制作側の意図した形で視聴者に番組を届けることが可能になった。
 二つ目は、情報補完性。『マツコの知らない世界』[※5]はプレゼンターであるゲストが持ち寄ったテーマ(マニアックなものが多い)の魅力を語る番組形式のため、伝えるべき情報量も多くなるが、レイアウトを上手く組むことでその点をカバーしている。テレビは活字媒体とは違って、情報を受けるスピードを変えることができないという特性があるが、リアルタイム視聴の場合、一度流れた映像や音声を再び見返して確認することができない。テロップを使うことで、見落とした情報であったり不鮮明な記憶といった部分を補完することができるようになる。その場の話の流れを作っていたり主題になる情報を含んでるものは文字化され、文字テロップは不要な情報を削除、足りない情報は追加することで音声情報及び発話内容の整理をしている。

※3 『マツコ&有吉かりそめ天国』(テレビ朝日)

※4 『伯山カレンの反省だ!!』(テレビ朝日)

人々を惹きつける表現

 印象に残る適切なテロップは理解を助け、記憶を促進する効果がある。一方で、曖昧な表現や紛らわしい表現によってテロップを誤解釈してしまう、あるいは間違った記憶を助長してしまう可能性もある。実際テロップの誘導する解釈と視聴者の解釈との間にギャップが生じてしまった場合には、テロップを誤って解釈してしま
い不快感を覚える恐れがある。また映像の中に文字が表示されることで映像美が損なわれると言われることもある。しかしテレビに求められているわかりやすさを踏まえると、得られる情報量の過度な増加や聞き逃しを防ぎ、制作者の意図を正確に伝えことができるという点でテロップは必要かつ効果的な表現であるといえる。
 このようにテロップは現代のバラエティ番組において人を惹きつけることのできる有効な表現であり、極めて重要な役割を果たしているのである。

※5 『マツコの知らない世界』(TBS)

荒谷 空

好きな授業
私が好きな授業は、「グラフィックデザインA」です。PhotoshopやIllustratorを使用しポスターやリーフレットなどの紙媒体を実際に制作していく中で、印刷物のレイアウト技術及び知識を身につけ、その後のデザインに役立てることができました。

学部を振り返って
プレゼンテーションが大の苦手だった私にとって、その場数を多く踏めたことはとても良い経験になりました。納得のいくプレゼンテーションができたという自負はありませんが、間違いなく今後に生かすことのできることだと思っています。

学部で身につけた力
「チームで動く力」を身に付けることができました。「企画表現演習」や「視覚デザインコラボレーション」などチームを組んで行う授業を通してどのようなスケジュールで誰が何をやるのか、目標の達成に向けて協同していく中で力を身に付けることができました。