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飲料パッケージの色彩が与える印象について

パッケージとブランディングの関係性
16Z1-011 泉 智沙都
人は多くの商品の中から、どのようなことをきっかけに、何を理由に商品を選び、購入するのだろうか。緑茶飲料のパッケージ、特にその中でも色彩とそれが生む印象を中心に調査した。そして、その研究結果を踏まえ、色彩に配慮した「伊右衛門プラスコレステロール対策」の新パッケージを提案する。
ブランディング
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お茶のパッケージのルール

 色彩に配慮した「伊右衛門プラス コレステロール対策」という商品の新しいパッケージを提案するにいたったのには大きく2つの理由があります。
 まずひとつは、10種類のお茶のパッケージの配色を調査した結果、そこには明確なルールがあることがわかったからです。
 具体的に見ていきましょう。まず調査した商品の多くが、緑色系の色を基本色として使用していました。「綾鷹」、「綾鷹 茶葉のあまみ」、「お~いお茶」、「伊右衛門」[※1]が、それにあたります。明度や彩度を調整することで差別化を図っていますが、基本的にはどれも緑茶をイメージさせる色を使用しています。
 次いで多かったのが、黄緑色系の色を使用した商品です。「生茶」、「お~いお茶濃い茶」、「伊右衛門プラス コレステロール対策」[※1]などです。フレッシュさを感じさせる色となっています。
 以上のように多くのお茶のパッケージは、基本色として緑色系や黄緑色系の色を多く使用しています。これは、『緑茶の色=緑色』という連想や、これらの色がフレッシュさや伝統をイメージさせることからではないかと考えます。
 一方で、一部の商品には緑色系や黄緑色系の色が使用されていないものもありました。具体的には「生茶デカフェ」、「お~いお茶カフェインゼロ」、「伊右衛門プラス おいしい糖質」[※2]です。これらの商品は白色を基本色としています。
 以上のようにカフェインや糖質に考慮した健康指向のお茶は、基本色として白色を使用していることがわかります。

※1 「綾鷹」「綾鷹 茶葉のあまみ」「お~いお茶」「伊右衛」「生茶」「お~いお茶濃い茶」「伊右衛門プラス コレステロール対策」引用もとは画像下部に記載。

※2 「生茶デカフェ」「お~いお茶カフェインゼロ」「伊右衛門プラス おいしい糖質」引用もとは画像下部に記載。

パッケージの問題点

 もうひとつの理由は「伊右衛門プラス コレステロール対策」という商品のパッケージの色彩は、先ほど示したルールに従っていないからです。
 「伊右衛門プラス コレステロール対策」は、コレステロール対策を訴えていることから健康指向の商品です。しかし、強い緑を基本色に使用していることが分かります。つまり、他の健康指向のお茶のように白色を使用していないのです。
 以上の2点の理由から、「伊右衛門プラス コレステロール対策」をルールに沿った色彩とするべく新しいパッケージを企画しました。

※3 「伊右衛門プラス コレステロール対策」引用もとは左画像下部に記載。

新パッケージデザイン案について

 それがこちら。「伊右衛門プラス コレステロール対策」Newパッケージです。
 まず健康指向の商品であることをしっかり伝えるために、お茶の色彩ルールに従い、基本色は白に変更します。その上で、現在の商品イメージは継承できるよう真ん中あたりに現在の伊右衛門プラスコレステロール対策で使用されている強い緑色を使用します。
 また健康指向の商品であることをしっかり伝えるために、現在も使用されている「悪玉(LDL)コレステロールを下げる」という表記も継続します。
 更に健康指向の商品であることをしっかり伝えるために、成分表記や注意書きのフォント部分を、一般的なお茶よりも大きくしています。従来の多くの飲料の表記は情報が整理されていないため、知りたいことがどこに書いてあるのか、なかなか直感的には分かりづらくなっています。その点にも配慮し、情報を整理し直しました。このことによってやはり細かな情報までアクセスしなかった人にも、アクセスすることを促し、どのように健康に効果的なのか、しっかり伝えられると考えます。
 以上のような基本色の変更やその他の工夫によって、「伊右衛門プラス コレステロール対策」が健康指向のお茶であることをしっかり伝えるパッケージとすることを提案します。

newパッケージをボトルに巻いたイメージ

泉 智沙都

好きな授業
マンガデザインA・B・C、色彩学、マンガアニメーション史、デザインマネジメント論、デザインと法、デザインと文化、日本・東洋美術史

学部を振り返って
あっという間の4年間だった。
その中でも『デザイン』というものについて色々考えたり、しったりしてとても良かったし、様々な経験や知識を生かして未来に向かって頑張りたいと思った。

学部で身につけた力
様々な人とディベートして情報を共有したことでコミュニケーション力が、モノを作ったり考えたりしたことで思考力が上がったと思う。